I am an economics professor focusing on retirement security and jobs.

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米国の高年齢の労働者の大多数にとって、退職後について考えることは、ゾッとするような問いかけをすることでもある──社会保障制度だけに頼って暮らしていくことはできるのだろうか?

私たちの誰もが、働き始めたら貯金をしなくてはならないと言われてきた。だが、多くの米国人には単純に、老後に備えた貯蓄ができるだけの稼ぎがなかった。退職後に向けての貯蓄が実質的にゼロだという高年齢の労働者は、およそ3人に1人だとされている。

何千万もの米国人にとって、社会保障給付は最後の望みだが、年金がもらえればそれで十分なのだろうか。ほぼ社会保障だけに頼る生活がどのようなものか、ジャーナリスト兼ライターとして活動してきたデービッド・ホルムバーグ(80)に話を聞いた。

ホルムバーグには貯蓄がなく、年金以外の収入もほとんどない。老後のための蓄えがほとんどないその他の大勢の人たちと同様に、彼は長年1社に雇用されてきたわけではなく、企業型確定拠出年金やその他の企業年金に加入していなかった。

経営難に陥っていた新聞社の仕事を60歳でやめた後、ホルムバーグはフリーランスのジャーナリストと非常勤講師として働き始めた。ただ、それで十分な収入を得ることはできなかった。さらに、予想外のことも起きた。離婚だ。それが、「社会保障制度に依存する状態に“滑り落ちる”ことにつながった」という。

所有していたわずかな株式と自宅を売って得た収入で、数年間は何とか暮らすことができた。それでも、その後は社会保障だけに頼る生活に陥った。「特にニューヨークやニュージャージー州に住んでいる人の場合、中間層の生活を維持することは難しい」という。

ニュージャージー州で家賃700ドル(約7万4000円、600ドルから値上がりしたばかりだ)のワンルームのアパートを借りているホルムバーグは、「質素な食生活」を続けているが、それでも生活は苦しい。

健康の問題もある。彼はメディケア(高齢者・障害者向け公的医療保険)に加入しているが、大きな病気をした場合への備えはない。

「深刻な病気になり、命に関わる問題が起きた場合のことを心配している。それでもただ、そんなことは起きないと考えるようにしている」

編集=木内涼子

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