また、当時から「Open Recruiting API構想」を掲げ、IT・Web業界に特化した転職・求人情報サイト「Find Job!」や友人のつながりを活用した副業マッチングサービス『YOUTRUST』といったサービスとAPI連携し、サービスのUX向上に取り組んでいた。
β版のリリースから約1年が過ぎ、β版導入企業数も増加し、顧客の一定の満足度を担保できるようになったタイミングで機能を拡張し、社員主導型採用を実現する採用プラットフォーム『HERP ATS』として正式リリースされることになった。
その経緯を庄田は、「サービスを提供していく過程で、事務作業の効率化の先に求められているものは、企業の採用活動へのスタンスの転換であり、それが社員主導型の"スクラム採用"であることが分かったから」と説明する。
HERP ATSでは応募情報・選考についてのやりとりを社員に可視化することができる。例えば、応募があればSlackで通知されるほか、応募者についての評価や選考周りのやりとりはタイムライン上で完結できる。
こうして現場が採用に取り組みやすくした結果、2019年3月の正式リリースから約5カ月で累計150社を突破。月次売上も前月比140%ペースで成長を続けているという。
インテグレーションが強みに
また、HERPがこれだけの成長を遂げている背景には「インテグレーションを推し進めてきたこと」が挙げられる。
「最低限の使いやすい機能を提供することもそうですが、インテグレーションの考えも大切。日本はまだまだインテグレーション文化がなく、すべて競合として考えてしまいがち。突き詰めるべきはUXで、ユーザーの使いやすさを考えると外部サービスとの連携は重要なので、とにかくインテグレーションを重ねてきました」
この点について、今回のラウンドで出資したDCM Venturesプリンシパルの原 健一郎は「インテグレーションがHERPの強みになっている」と語る。
「SaaSに関してアメリカのプロダクトはやはり強い。みんなSalesforceやDropboxやZoomを使う。ローカルなSaaSがアメリカのプロダクトに対して強みを発揮していくにはインテグレーションが鍵になってくる。“採用”という領域において、インテグレーションすべきサービスは求人媒体などローカルで、かつ、これだけたくさんの求人媒体があるのは日本だけ。ローカルで展開するSaaSで、かつ様々な業界に展開できるSaaSとして、ATSは面白いと思いましたし、インテグレーションに力を入れ、開発スピードがどこよりも速いことはHERP独自の強みになると思いました」(原)
DCM Venturesプリンシパルの原 健一郎