ビジネス

2019.08.15 12:00

米国の1ドルショップに挑むダイソー、東海岸で事業拡大

カリフォルニア州アーテジアのダイソー(2016年5月)(Supannee_Hickman / shutterstock.com)

カリフォルニア州アーテジアのダイソー(2016年5月)(Supannee_Hickman / shutterstock.com)

日本の100円ショップ・チェーン、ダイソーで買い物をした米国の消費者は、「1ドルショップ」をそれ以前と同じ目で見るだろうか?──恐らく、それはないだろう。

米国のその他の1ドルショップとダイソーは、取り扱う商品が異なり、文化が劇的に異なる。西海岸ですでに多数の店舗を展開しているダイソーは今年3月、ニューヨーク都市圏にも進出。8月3日には同地域で2番目の店舗をニュージャージー州エッジウォーターに開業した。

米国内の店舗数が78となったダイソーは、それぞれ1万5000店舗近くを持つ業界の巨人、ダラー・ゼネラル、ダラーツリーに比べればごく小規模だ。だが、東海岸に進出したダイソーには今後、急速な成長が見込まれている。ニューヨークにさらに2店舗、ニュージャージー州内にもその他の店舗をオープンする予定だ。

競合他社は要警戒

ダイソーを警戒しなければならないのは、1ドルショップだけではない。手芸用品店やホビーショップもまた、同社から目を離してはいけない。ユーチューブにはインフルエンサーたちが、ダイソーで手に入れた「収穫物」を紹介する動画がいくつも投稿されている。

ダイソーは東海岸で最初の店を設ける場所として、アジア系の人口が多い地域を選んだ。すでに同社の名前をよく知っており、確実につかむことができる顧客層があるためだ。世界各地に合計4000店舗以上を展開する同社だが、その大半は日本と、その他のアジア諸国にある。

今年3月、ニューヨークのフラッシングにあるモール「スカイビューセンター」の店舗がオープンしたときには、店内に入るための長蛇の列ができ、最後尾はフロアの端にまで達した。

エッジウォーターにある「ミツワ・マーケットプレイス」内に開業した新店舗とフラッシングの店舗では、ほぼ全ての商品を1.99ドルで販売している。西海岸では基本的に全て1.50ドルであることから、高めに設定されている。ダイソーの幹部はこれについて、店舗の賃料が高額であることから、ニューヨークでは価格を上げる必要があったと説明している。

加工食品やスナック、日本のドリンク類も販売するダイソーでは、基本価格(1.99ドル)で販売されている商品の割合がその他の大手1ドルショップよりも高い。一部の1ドルショップでは、価格が実際に1ドルのものを見つけるのが難しい場合もある。

また、ダイソーのファンたちによれば、価格に対する品質のレベルは、その他の1ドルショップより同社の方が優れているという。

「ニッチ市場」にアピール

ダイソーは1ドルショップ業界にとって重要な「ニッチ市場」にアピールしている。それは、低価格と高品質を求める高所得層がターゲットとなる市場だ。調査会社IBISワールドが2月に発表した同業界に関する報告書によると、米国の1ドルショップ業界は中間~高所得者層の消費者によって、871億ドル(約9兆2600億円)規模に成長している。

報告書は、「多くの高所得の消費者にとっては、安く買い物ができたことはますます誇るべきことになっている。そうしたトレンドが、同業界の顧客ベースを大幅に拡大させてきた」と指摘する。

ダイソーでは、米国の代表的な1ドルショップでは決して見つけることができない数多くの商品が販売されている。

編集=木内涼子

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