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2019.08.13

世界的人気の「老け顔アプリ」FaceAppを創ったロシア人起業家

画像はイメージ Gettyimages

老け顔アプリ「FaceApp」創業者のヤロスラフ・ゴンチャロフ(Yaroslav Goncharov)は、かつてマイクロソフトでウィンドウズモバイルの開発に従事していた。その後、彼は仲間と共同で立ち上げた会社をロシア版グーグル「ヤンデックス(Yandex)」に3800万ドル(約41億円)で売却し、莫大な富を手に入れた。

しかし、ゴンチャロフに最大の成功をもたらしたのは、社員数わずか12名の「FaceApp」だ。40歳の彼が開発したFaceAppは、現在世界で最もホットであると同時に、最も物議を醸しているアプリだ。このアプリは、AIを活用したフィルターによって自撮り画像の人種を変えたり、老け顔にすることができる。

各国のセレブが自分の老け顔をインスタグラムやツイッターに投稿するFaceAppチャレンジに参加したことで、FaceAppのダウンロード数は数百万件を突破し、7月下旬には主要アプリストアのダウンロードランキングで首位に躍り出た。

しかし、FaceAppの人気が爆発した途端、ゴンチャロフがロシア出身であることから、ロシア嫌いの人々を中心にFaceAppがスマホに保存されている全ての画像にアクセスし、アメリカ人の顔データがロシアに流出しているといった噂が広まり、米国の上院議員がFBIに捜査を要請する騒動に発展した。

これに対し、ゴンチャロフはプライバシー規約を見直し、透明性を高めることをユーザーに誓った。サンクトペテルブルクにある本社でインタビューに答えた彼は、「先日は約3時間の間に200回も電話が掛かってきて、業務に支障をきたした」と述べ、会社が危機モードからようやく回復しつつあることを明らかにした。

現在のFaceAppの規約では、ユーザーが投稿した画像の所有権や、画像を編集したり、ユーザーに報酬を支払うことなく販売する権利を同社が保有すると定められている。「ユーザーは、我々の規約に記載されていることが実際に行われていると思いこんで恐怖を感じているが、そんなことは一切ない」とゴンチャロフは話す。

「我々のプライバシー規約はインスタグラムのものと酷似しているが、インスタグラムを批判する人はいない。それは、相手がインスタグラムだからだ」と彼は言う。
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編集=上田裕資

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