英国の企業データベースCompanies Houseの開示資料で、ディープマインドの2018年の損失額が5億7000万ドル(約605億円)まで拡大したことが明らかになった。同社は2017年に3億6800万ドルの損失を計上していた。
ディープマインド創業者のデミス・ハサビスは、幼少期からチェスの神童と呼ばれた人物で、2005年にケンブリッジ大学の博士課程へ進み、脳神経科学の研究をスタートした。その後、2011年にディープマインドを設立した。
同社は給与の高い研究員やデータサイエンティストを数百名規模で採用しつつも、赤字幅を拡大させている。ディープマインドの現在の親会社のアルファベットは、アマゾンやアップル、フェイスブックとAI人材の獲得バトルを繰り広げている。
2018年にディープマインドは4億8300万ドルを投じ、約700人を採用した。2017年には2億4300万ドルを支払っていた。さらに同社は1700万ドルを、学術分野の寄付やスポンサーシップに支払っていた。
ディープマインドは2020年に英国内で独自のオフィスを構える計画で、昨年は建設コストとして1200万ドル、オフィスの家具費用として120万ドルを支出した。
一方で2018年の売上は約1億ポンド(約130億円)だった。ディープマインドはグーグルにソフトウェアを納入し、グーグルはこのソフトでデータセンターの電力消費を抑え、アンドロイド端末の省電力化を行っている。
ディープマインドの広報担当はフォーブス宛の声明で、同社がロングタームの視野からAI研究を進めていると述べた。
「ディープマインドはグーグルに匹敵するスケールで、専門的知見をリアルな世界に導入しようとしており、昨年は売上を倍増させた。今後も基礎研究分野への投資を続け、世界トップレベルの専門家の力を結集し、ブレークスルーを起こしていきたい」
一方でフェイスブックの主任AI研究員のYann LeCunは、昨年のインタビューで「ディープマインドは投資に見合う価値をグーグルに与えていない」と指摘した。「ディープマインドの研究領域はグーグルの事業とはかけ離れている」と彼は述べた。
「私自身はディープマインドCEOのデミスのような立場になりたくはない」とLeCunは続けた。