2018年のこの日、アリババが運営する中国最大のECサイト「Tmall」にて、電子美容機器部門で、販売実績・売上シェア共に3年連続1位を獲得。さらに、「1日の売上が1億人民元(日本円で約15億円)を超えたブランド」に、美顔器カテゴリで唯一日本企業でランクインした企業がある。41年前に設立された、東証一部上場企業のヤーマンである。
同社は、2015年に中国へ進出。現在日本のみならず、アジア圏やアメリカを中心に8カ国でも販売をしており、マーケットではしばしば“インバウンド関連銘柄”としても注目を集める。
大学卒業後ヤーマンに入社し、1999年から社長を務める山﨑貴三代。社長就任から10年後の2009年にJASDAQ上場を果たした。上場以来、連結売上高は約1.4倍、営業利益は約3.4倍に伸長した。同社の躍進に寄与した山﨑の決断と世界への挑戦に迫る。
──ヤーマンはもともと半導体の検査装置などの先端電子の開発や業務用エステ機器メーカーとして展開してきました。そんな中、山﨑さんが社長に就任してから、家庭用美容機器へと裾野を広げました。
はい。それまでは業務用機器メーカーとしてBtoBビジネスが基本でしたが、自分たちのブランドを直接エンドユーザーに売るという、B to BからB to Cへの転換をしました。さらに100%自身のブランドの想いを伝えるためには、卸売だけではなく自分たちで直販することも必要だと感じたのです。
──決断のきっかけは?
当社が持っていた日本初の体脂肪計の特許を他社へ譲渡したときです。OEMといった影の立場ではなく自分のブランドとして存在感を出せるメーカーにならなければ、今後企業として成長していけないと感じたのです。私自身の、人任せにすることが好きではない、自ら決断・行動するという性格も要因としてあります。
──B to Cへの転換を決断する中で、家庭用美容機器の市場はどのように捉えていたのですか?
美容家電はグローバルブランドに成長できる分野だと考えました。かつてのソニーのように海外に出て認められる日本のメーカーがもっとあるべきだと感じており、化粧品市場はすでにグローバル競争が激しい反面、美容家電市場となるとまだ世界でもNo.1と呼ばれるブランドはないので、当社が世界一のブランドになれる可能性があります。