テキサス州ダラスを拠点とする同社は、2016年の春に販売開始したローラー型美顔器「GloPRO」がヒットし、年商が3000万ドル(約33億円)以上に急増。35歳のCEOであるオバニオンは、自身の性格を「カウボーイ気質。負けるリスクを冒してでも大きな賭けに出ない限り、大当たりを掴むことはできません」と表現する。
オバニオンの美容業界歴は長い。父のテリー・ジェームズがスキンケア用品の原料を作る研究所の経営に携わっていた関係で、ティーンになる前から父の出張に同行していた。その後、ブリガムヤング大学に進み、卒業後は同研究所の商品開発・マーケティング部門のディレクターに就任。研究所は世界的な化粧品ブランドの数々と提携してレチノールなどの美容成分を作っていたが、オバニオンはブランドの多くがコストダウンのため、推奨量をはるかに下回る量の美容成分しか配合していないことを知り、失望したという。
「適切な成分を、適切な濃度で、狙った細胞に届かせる。独自の処方でそれを行うのがビューティー・バイオサイエンスの商品です。残念なことに、そのような商品はこの業界にごくわずかしかありません」
2008年、オバニオンは自身のブランドを立ち上げることを決意し、父と共同で「オーガニケア」(Organicare)を創業。しかし不況で消費が冷え切っていたこともあり、同ブランドはすぐに暗礁に乗り上げた。消費者には「オーガニックとナチュラルの違いすら認知されなかった」とオバニオンは振り返る。
テレビ通販で全米に大旋風を
2011年、親子は新たなブランド「ビューティー・バイオサイエンス」として、テレビ通販のホームショッピングネットワーク(HSN)上で再デビューを果たした。商品第一号は、アンチエイジングの有効成分であるレチノールの濃度を45日間かけて少しずつ上げていく、200ドルの若返り美容液セット「RetinoSyn-45」。ブランドは軌道に乗り、オバニオンは保湿成分入りの日焼け止め、保湿クリーム、クレンザーなど商品ラインナップを増やしていった。