たとえばタクシー業界は今でも男性社会だが、筆者の経験ではウーバーのドライバーは男女半々に近い。それは、ウーバーはライドシェア、つまり乗り合いだから、客を選べるし、乗車拒否もできるからセクハラを排除できるシステムとなっている。さらに、タクシーでは運転手がお客の荷物を持ち上げてトランクに乗せるのが常識だが、ライドシェアは重い荷物はお客に乗せさせればいい。
また、いまどきは、ホワイトカラーの事務所でも、重い荷物が到着したからと言って女性事務員は男性事務員の手を借りようとしない。それが自分の仕事であると思えば、OLは、段ボールは蹴ってでも、事務所の絨毯を滑らせてでも自分で運ぶ。
その光景は、さまざまな意味で日本の職場には違和感がある風景であることは十分承知の上で、また「行儀悪い云々」と言う文化人の反論を先に聞いたうえで、手で歯が立たなければ足で運んで何が悪いというアメリカ女性の意気込みには、いつも筆者は内心で喝采を送っている。
女性の社会進出は、男性がなにか倫理観のような甘ったるい動機で「与えてきた」ものではなく、間違いなく女性たちが汗水たらして勝ち取ってきているものだからだ。
連載 : ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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