技術的なところから、組織的なところまで。エンジニアが関係する領域は“何でも担当する”イメージが強いが、CTOの役割は組織のフェーズによって変わってくるようだ。そんなことを感じさせられるニュースが先日、耳に入ってきた。そのニュースとは、Eコマースプラットフォーム「BASE」を手がけるBASEのCTOが交代する、というもの。
創業以来、取締役CTOとしてBASEの技術面、組織面の両面を見てきた藤川真一(通称:えふしん)が取締役EVP of Developmentとなり、新たなCTOにBASE Product Divisionのテックリードを務めていた川口将貴が就任した。
なぜ、このタイミングでCTO交代の意思決定を行ったのか。BASE代表取締役CEOの鶴岡裕太と取締役EVP of Developmentの藤川に話を聞いた。
「CTO交代」は3年前からのアジェンダだった
今回、発表されたCTOの交代。鶴岡によれば、「3年前から、藤川との間で話し合ってきたこと」だという。
「新たなCTOを誰にするか。これは3年くらい、藤川との間での大きなアジェンダでした。外部から人材を採用してくる方法もあるし、内部で抜擢する方法もある。あらゆるパターンを想定しながら、CTOを誰にするか考えていました」(鶴岡)
なぜ、CTOを交代するのか。その理由を聞いたとき、2人の間で共通していたのは「会社としてより大きくなるために、技術と経営を分離して考えるべき」ということだった。
「創業から6年半。会社の規模も大きくなってきている。一般的にCTOは“開発をメインに見ている取締役”と考えられがちですが、会社として大きなことをしていくためには、経営と技術を担う人は分離するのがベストだと思ったんです」と鶴岡は語る。
モイで「ツイキャス」のチーフアーキテクトを勤めた後にCTOとしてBASEにジョインした、藤川は就任時のことをこう振り返る。
「当時、BASEにはすでに開発メンバーがいて、チームができあがっていた。そのため、僕は第一線でコードを書き続ける役割ではなく、トラブル対応や開発全体の進捗把握、ピープルマネジメントなど、“みんなの成長を支える役割”でジョインしたんです」(藤川)