5年後には国連本部で開催か
イベントは今年6月、都内にあるスペイン政府の文化機関「インスティトゥト・セルバンテス東京」で計3回開かれ、日本やスペインを含め計6つの国から約150人が参加。4種類のおむすびが順番に提供された。
DJMOODMANによる日本とスペインのエレクトロニカのBGMが流れるなか、おむすびを楽しむ参加者たち
当日、同時通訳を務めた中谷綾子アレキサンダー(アレックス)氏は、塩むすびを食べて「懐かしさ」を感じたという。アレックス氏の父親は、1960年代に南米のエクアドルに渡り、プランテーション農業を展開。現地の米の食べ方は、パラパラとした米をタマネギと塩と一緒に炒めてから煮るというもの。
15歳までエクアドルで育ったアレックス氏は「炒める過程で鍋底にできるお焦げを『ココロン』と呼んでいて、それがとってもおいしかった。今回の塩むすびは、そのココロンとすごく味が似ていた」と言う。
スペイン米を炒める過程で生まれる香ばしさやオリーブオイルの風味が、今回の塩むすびのアクセントだ。「亡き父を思い出したイベントだった」とアレックス氏。日西mixおむすびは、思いがけず、アレックス氏の過去の思い出とのUniteまで引き起こした。
南米のココロンを思い起こさせたという塩むすび。炒めて茶色になっている米粒がスペイン米
ちなみに、当時の日本人移住者たちはパラパラの米と油っぽい現地の米料理が口に合わず、アレックス氏の父が日本米の食味に近い米を探し続け、ようやくカリフォルニア米を発見。ところが、やはり日本人好みの粘りとまではいかず、カリフォルニア米に糯米(もちごめ)を混ぜて炊く方法を考案して、ごはんを少しでも日本で食べ慣れた味に近づけていたという。今回の日西mixおむすびと発想が似ていて、とても興味深い。
「United Rice Ball」は、今後、日本の米に混ぜる米を毎年1カ国ずつ選んで開催していき、5年後にはニューヨークの国連本部での開催をめざす。米と米、人と人、国と国、文化と文化、時代と時代、これからも予想外のUniteや化学反応が生まれるにちがいない。