異なるカルチャーの橋渡し役に
バーチャルモデル市場への挑戦を発表したのは、ミレニアルコンテンツカンパニーのyutoriだ。
国内最大級の古着コミュニティ「古着女子」などを運営するyutoriは、バーチャルインフルエンサーのみが所属するモデルエージェント「VIM」を設立。同時に「葵プリズム」「uca(ウカ)」という2名のバーチャルモデルの所属を発表した。
クライアント向けにバーチャルモデルを作って管理運営を行う企業や、事務所に所属するバーチャルモデルは既に存在する。しかし、VIMはいわば「バーチャルモデルのみが所属する芸能事務所」であり、世界初のモデルエージェントである。
左から、uca、葵プリズム
代表の片石貴展は今回の発表について、「yutoriだからこの領域で戦える」と話す。どういうことか。
片石いわく、バーチャルモデルの製作や運営にはファッションセンスや言葉遣い、身の振る舞い方といった感性的な側面と、ハイクオリティなCGを作る技術的な側面の両方が必要。例えばファッション業界で働いている人とテック系の会社で働く技術職の人を想像すると、お互いの強みも、カルチャーもまるで違うことは容易に想像できる。
「古着女子」に代表されるように、ミレニアル世代と称される近しい価値観で人々たちが集まり、テクノロジーを活用し新たなカルチャーを生み出すことがyutoriの強みだ。それゆえ、今後競合の参入も見込まれるこの領域について「感性と技術、その両者の橋渡し役になれるところはそう多くない。プレイヤーは増えると思うが、爆発的に増えるイメージはありません」と話す。
昨年11月に着想し、およそ半年で今回の発表に至る。まず取り組むのは、広告分野。ミケイラやimmaのように、葵プリズムやucaもファッションブランドのモデルとしての活動を行っていく。中長期的な目標のひとつとして「難易度は高いが、動画の生配信も挑戦してみたい。VTuberの上位互換になるようなイメージ」と片石。
yutoriはバーチャルモデルの技術面を担当する人物や企業名を明らかにしていないが、はっきりとした口調から実現に向けた自信がうかがえる。