JUMIAとはドイツのインキュベーターRocket Internetの支援を受けて2012年に設立されたナイジェリアのスタートアップで、「アフリカ版アマゾン」と呼ばれている。家電製品から食料品、航空チケットやフードデリバリーまで幅広く商品を扱っており、現在はアフリカ18ヵ国に20の拠点を構えている。
現状JUMIAの営業損失は2018年で1.7億ユーロを超え、赤字を掘りながらも未来のアフリカ市場を見据え着実に事業を拡大させているというのが現状だ。
2030年までにアフリカ大陸全体の人口は18億人となり、消費者支出は2.2兆ドルまで増加する。また、2022年までにスマートフォン利用者がモバイルユーザー全体の77%まで上昇するとも予想されている。
中間層の増加やデジタルインフラの普及によりアフリカ市場での購買ニーズは今後益々増加していくだろう。しかし、アフリカでのサプライチェーンにおける課題は山積みであり、アフリカでの購買ニーズを満たすためには、これから多くの物流課題を解決することが求められている。
40億人の住所を持たざる人々
「住所がない世界」を想像したことがあるだろうか?日本で生活をしていると、住所の重要性を改めて実感することはほとんど無い。運転免許証や保険証には必ず住所が記載されているし、行政手続き、履歴書、銀行の口座開設にも必ず住所を求められる。物を買う時はアマゾンを通じてワンクリックでいつでも何処にいても買い物ができ、次の日には指定の場所と時間に確実に物が届く。
一方、僕らの当たり前は世界に目を向けると当たり前ではない。世界では約40億人が住所を持たない状況下で生活していると言われている。私の住むアフリカだけでなく、南米、アジア圏で住所を持たずに暮らす人々が多く存在しているのだ。本来住所とは郵便を受け取ることや、物理的な居住地を示すことを目的に利用されている。
そんななか、アフリカの農村エリアに行くと地名と村の名前しか割り当てられていないことが多い上、ケニアの首都ナイロビの街中でも中心を少し離れると、「Galana Rd」「Nairobi」「Kenya」のような粒度で示されている。
日本で言えば「東京都渋谷区○○通り」というようなもので、これではどこに物を届けるのか、どこに人がいるのかさえ判断ができない。今から政府が適切に土地を区画し、番地を割り当て、住所として利用されるために整備するには気が遠くなるような時間もコストも要することになる。