ゲーム、アニメ、映像、音楽、スポーツ、eスポーツ、テーマパークなどのエンターテインメント全般を投資対象とするAET Fund。そのインド責任者である河村悠生は、「ボリウッドとクリケットがメインだったインドのエンタメ市場にも、ここ数年で急激な変化が起きている」と語る。
「モバイル」を使ったエンターテインメント市場の勃興だ。
「TikTok」を超える次のビッグウェーブはインドから起きる
「アカツキが目指すのは、グローバルなエンターテインメント会社です。そのためには、積極的に外に出ていかないといけない。方法はいろいろありますが、私たちは、海外のエンタメスタートアップへの投資を通じて、世界でどんなエンタメが消費されているかという動向をきちんと把握しようと考えました」。
AET Fundが特にインドに注目するようになったのは、2018年のこと。ファンドを設立した17年当初は、エンタメの本場であるアメリカを中心に考えていた。が、塩田元規(アカツキCEO)、香田哲朗(同COO)がインドの魅力を社内で語るのを聞いて、河村が18年5月に現地を訪問。そこで現地のVCやスタートアップを回ってみたところ、「市場環境に加え、彼らの事業とハングリー精神にものすごくポテンシャルを感じ、いまこそインドに舵を切るべきだと判断した」。現在河村は、ベンガルール、ムンバイ、デリーの3都市を回りながら、有望なスタートアップと面談を繰り返す日々を送っている。
インドでの投資テーマは、「Content, Media and Entertainment」。現在は、モバイルゲーム開発の「Mech Mocha」、ローカル情報メディアの「LBB」、オンライン・オフラインで展開する玩具店「Planet Superheroes」などに投資している。
なかでも、注目すべきスタートアップは、中高校生向けに大学の入試対策用動画コンテンツを配信する「Doubtnut」だ。現地の学生向けに、英語ではなく、ヒンディー語など多言語で学べるオンライン教育アプリを提供している。これらは「バーナキュラー(vernacular)コンテンツ」と呼ばれ、トレンドとなっている。
いま、インドのモバイルエンタメ市場では、どんな変化が起きているのか。なぜ「その土地固有の」という意味をもつバーナキュラーコンテンツが人気なのか。