EUはこの問題の解決を図ろうとしているが、専門家らは、起こりつつある惨事から逃れることは難しそうだとみている。ロンドンに拠点を置く調査会社TSロンバードは先ごろ公表した報告書で、「…起きるかどうかではなく、いつ起きるかという問題だろう」との見方を示した。
さらに、報告書によれば、それが実際に起きたとき「重要なのは、イタリア政府が国民に対し、“自らユーロ圏を離脱しようと望んだのではない、ユーロ圏がイタリアを見捨てるのだ”という立場を取ることだ」という。
つまり、イタリア政府はEUに対しては「もうたくさんだ」と言い、自国民には「全ての責任はEUにある」と言おうとしている。実際にこうしたことが起きれば、報告書が指摘するとおり、世界中の株式市場を金融津波が直撃することはほぼ間違いないと考えられる。
経験豊富な市場関係者の中には、10年前に起きたギリシャの債務危機を思い出す人もいるだろう。当時と同じことが起きるということだ。ただし、イタリアの経済規模は世界で8番目の大きさであり、ギリシャの約10倍だ。影響ははるかに大きなものとなる。
迫り来る嵐の原因は全て、高まり続けるイタリアの債務水準にある。国際通貨基金(IMF)をはじめとする国際的な金融機関によれば、2018年に132.2%だった同国の公的債務の対国内総生産(GDP)比 は、2020年には135%に上昇すると予想されている。
問題を解決する3つの方法
英調査会社キャピタル・エコノミクスの報告書によれば、増加する債務に対応するための一般的な方法は、3つある。だが、残念ながらイタリアは、これらのいずれも実行することができない。
第一の方法としては、経済成長を後押しすることが挙げられる。大半の国はそれによって、借金から抜け出すことができる。