だが、「1999年以降の平均成長率がわずか0.4%、世界経済が急速に拡大していた1999~2007年の間もわずか1.5%しか成長しなかったイタリアにとって、これは無理な注文のように思える」。
つまり、イタリア経済がこの問題を解決するのに十分な速度で成長する見込みはないということだ。
第二に、政府は緊縮財政政策を取ることができる。だが、残念ながら過去の経験から、イタリアではこの方法もうまくいかないことが分かっている。
「イタリア政府は過去25年間のうち23年において、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字を維持してきた。それでも債務の対GDP比は上昇している」と報告書は述べている。
プライマリーバランスの黒字は、政府の歳入が借金返済のための元利払いを除いた歳出を上回った状態だ。要するに、これまで同国政府の倹約が国を助けたことはないということだ。
第三の方法は、インフレを引き起こすことだ。それによって、負債の実質価値を減少させることができる。ただ、これも残念なことに、ユーロを導入しているイタリアは、自らインフレをコントロールすることができない。EUの金融政策に関する全てを決定する欧州中央銀行(ECB)が、イタリアの債務問題の解決を可能にするためだけに、ユーロ圏全体のインフレを認めることはないだろう。
それではイタリアは、どうすればこの混乱から抜け出すことができるのだろうか?唯一の選択肢と考えられるのは、債務不履行に陥ることだ。そして、金融市場を通じて衝撃波を送ることだ。
それが実際の債務不履行となるのか、それとも返済期間を延長した新たな借り入れを行う債務再構成(別の種類の債務不履行にすぎないが)ということになるかは分からない。評論家の中には、何らかの支援が行われる可能性を指摘する人もいるだろうが、それもやはり、実質的には債務不履行か、IMFからの借り入れによる債務再構成のどちらかになると考えられる。
つまり、イタリアはいずれにしても、債務不履行に陥る可能性が高いということだ──ウォール街からは、苦悩の叫び声が聞こえてくることになるだろう。