ランク入りした唯一の女性はセリーナ・ウィリアムズ。年収2920万ドル(約31億6000万円)で、ミゲル・カブレラとタイの63位に入った。ランクインした男子選手の多くと異なり、収入の大半はスポンサー契約(2500万ドル/約27億円)によるもので、給与や賞金(420万ドル/約4億5000万円)の割合は小さい。ウィリアムズは2017年も同ランキング唯一の女子選手となっていたが、2018年のランキングでは女子選手は一人も入らなかった。
ランキングがこうした悲惨な状況となる一方で、サッカー界では男女間の報酬格差が注目を浴びている。世界トップレベルの女子サッカー選手とされるアーダ・ヘーゲルベルグは、男女リーグ間の給与や条件、評価の格差に抗議し、今年の女子ワールドカップ参加を辞退した。米国では女子代表28選手全員が同様の不満により、米国サッカー連盟に対して性差別の解消を求める集団訴訟を起こした。米国女子代表チームは、自分たちが男子チームと同じ仕事をより低い給与や劣った労働条件で行っていると主張している。
実際に、米国のサッカー女子代表は素晴らしい戦果を残しているにもかかわらず、報酬は男子選手の38%しか受け取っていない。米国男子代表チームはワールドカップでの優勝経験がなく、昨年は出場権も得られなかった。
スポーツ界での賃金格差は一般的に、男子スポーツと女子スポーツがそれぞれ生み出す収益の差を反映している。サッカーでは、2010年の男子ワールドカップが約40億ドル(約4340億円)の収益を上げた一方、2011年女子ワールドカップの収益は約7300万ドル(約79億円)だった。ということは、収益に対する報酬の割合でみると実は女子の方が男子よりも高いことになる(男子は9%、女子は13%)。では女子スポーツのファンや収益は、なぜ男子より少ないのだろう?
男性は女性より身体能力が高いため、足がより速く、ボールをより遠くに投げられる。このため、女子の試合はのろく感じ、観てもあまり楽しくない、というのが男子スポーツファンの主張だ。だが、ランキング上位100人のうち5人は男子ゴルフ選手だ。ゴルフは全てのろく感じられる。試合のスピードを根拠にした主張に説得力はない。