毎年6月は、1969年6月にニューヨークで起きた「ストーンウォールの反乱」事件を記念し、性的少数者(LGBTQ)の「プライド月間」とされている。LGBTQの権利擁護運動のきっかけとなったこの事件以後、1973年に米国精神医学会が精神疾患のリストから同性愛を削除するなど、多くの進歩があった。だが一方で、LGBTQの従業員は現在も、精神疾患のある従業員と同じ不安を職場で抱えていることが分かっている。例えば、上司から他の同僚と違った待遇を受けたり、職務遂行能力に疑問を持たれたり、差別されたり、昇進や昇給を見送られたりするのでは、という懸念だ。
ある調査では、LGBTQの回答者の52.8%が差別によって職場環境が悪化したことがあり、46%がキャリアへの影響を恐れて職場ではLGBTQであることを隠していると答えた。従業員の多くは自分の性的指向についてオープンに語ることに不安を感じるか、自分にその義務はないと思っている。このような状況の場合、安全かつ配慮と敬意のある職場環境を築けるかどうかは、経営側にかかっている。
職場を改善する方法とは?
社会は1960年代から大きく進歩したものの、職場での無知やハラスメント、差別の根絶に向けた道のりはまだ長い。以下に、従業員と雇用主が協力してLGBTQの従業員に対する平等な環境を作るための8つのアクションを紹介する。
1. LGBTQの知識を深める
下品なジョークや、LGBTQを悪とする宗教上の価値観、メディアでの固定観念からの知識に頼ってはいけない。同僚や知り合いの中にゲイ、レズビアンやトランスジェンダーの人がいなければ、そうした人々について自分で調べるか、知識のある友人や家族に聞くこと。身近なところから知識は得られる。
2. プライド月間を従業員に周知する
6月はLGBTQのプライド月間であることを掲示したり、社内メールで送ったり、定例ミーティングで告知したりする。地元や全国、世界で行われるイベントについても触れよう。
3. あらゆる性的指向や性自認に配慮し、思い込みは捨てる
多くの人は、同僚やクライアントの性的指向、婚姻状態、宗教的信条が自分と同じだと思い込んでいる。例えば、私のレズビアンの友人は病院で手術を受ける前に、「誰が自宅まで送ってくれますか?」という看護師からの質問に「配偶者です」と答えたところ、「彼の名前は?」と聞かれた。
こうした思い込みはビジネスシーンでも起き続けており、LGBTQのクライアントや従業員は気まずい思いをしながらあなたの思い込みを正さねばならず、あなたも自分の間違いにばつが悪い思いをすることになる。ささいに思えるものでも、その裏には大きな問題がある。仕事を完了させる上での問題ではないが、自分にとって重要な問題だと感じるのであれば、なぜそれが重要なのかを考えるべきだろう。