多様性とフェアネス

Watsamon Tri-Yasakda / Getty Images

あなたの会社には、LGBTの権利を尊重したり、差別を禁止するなどの基本方針があるだろうか?

東洋経済が毎年実施しているCSR調査で、上記の質問に「ある」と答えた企業は、2014年版の114社から2019年版は330社と約3倍にまで増加した。

LGBTに関する企業の取り組みを測る「PRIDE指標」への応募企業・団体数は、2016年の82社から、2018年は130社となった。

2015〜6年頃は、例えば同性パートナーも異性婚の場合と同様に福利厚生を受けられるようにするなど、当時は珍しかった企業のLGBT関連施策の事例がよくニュースに取り上げられていた。

そうした企業のLGBTへの取り組みが当たり前になり、より一般化していく時期へと入ってきている。

一方で、企業のLGBT関連施策の担当者からは「どうしたら社内の雰囲気が、もっと多様性を受け入れるものに変わっていくか、まだまだ道のりが険しい」といった声をよく聞く。

OUT JAPANが2018年1月から定期的に開催している「LGBT-Allyサミット」では、LGBT関連の施策に取り組んでいる、またはこれから取り組もうとしている企業・団体の担当者が集まる。そこでは、さまざまな悩みを持つ企業担当者たちが、リアルな葛藤や状況を共有し、吸収するために集っている。


2月に開催された「LGBT-Allyサミット #4」には、日本航空やTOTO、三洋化成工業やJVCケンウッド、東京ガスなど約30社の企業担当者が会場である日本生命保険相互会社に集まった

LGBTフレンドリーな企業を積極的に受ける就活生、しかし不安も。

現在就活真っ只中の、あるレズビアンの大学生は「地元では親や友人にはカミングアウトしていません。できれば地元を離れて、東京で就職したいと思っています」という。その大きな理由は、セクシュアリティを隠すことなく働きたいと思っているからだ。

そんな彼女は、PRIDE指標で賞を受賞した企業を見てみたり、東京レインボープライドに協賛している企業をチェックし、実際にエントリーしている。さっそく1社、内定を取ることができた。他の企業も今後受けてみる予定だという。

「もちろんセクシュアリティに関係なく、やりがいのある仕事をしたいというのが前提で、LGBTに対してもフレンドリーな企業でオープンに働きたいと思っています。でも、実際職場がどれくらい多様な性のあり方を受け入れているのか、正直よくわからなくて」

企業の前向きな発信や、具体的な施策が見えるようにはなってきている。しかし、実際の職場の中で、当事者がどれくらい可視化されているのか、働きやすいと思っているのかは、まだ見えていない部分も多い。


LGBT-Allyサミットでは、毎回異なるゲストが登壇し、当事者のライフヒストリーや、LGBTがテーマの映画上映、弁護士によるSOGIハラ解説、トランスジェンダーの子育て、HIV/エイズに関する話など、毎回異なるトピックの話が聞ける

企業担当者も悩みを抱えている

企業でLGBTも働きやすい職場づくりのために動いている担当者も、悩みを抱えている。そんな彼女ら彼らにとって「LGBT-Allyサミット」は貴重な情報交換の時間だ。施策を進めるために、社内の誰を巻き込み、どう進めていったか、”表向きの情報”だけでなく、さまざまな情報を積極的に持って帰ろうとする熱量の高い場に筆者も圧倒された。


毎回参加している企業担当者から、今回初めての参加となる人まで、企業の状況に応じて相互にアドバイスしあう姿が印象的だった

「上の説得が難しい...」「継続させるための予算は...」

「うちはなかなか進みが遅くて、いつも心が折れそうになります。上を説得するのが難しくて、孤独でめげそうになることも多いのですが、この会に参加して他の企業の方々からいつも勇気をもらっています。」ある担当者が社内の巻き込みに苦労していると吐露すると、そこにいるほぼ全員が大きく頷いていた。

あるBtoCの企業では、「従業員にパートやアルバイトの方が多く、セクシュアリティをオープンにして働いているLGBTの当事者も結構います。むしろ会社が現実に追いつけていなくて、制度と風土づくりを頑張っている状態です。」

他にも「LGBTについての研修をはじめることはできたけれど、継続するためにどう予算を取ってきているか」という話や、「LGBTフレンドリーであることを社外にアピールだけして見せかけ的になるのもよくない。社外からの見え方に対して実が伴っていないなと思うこともよくあります」という声もあった。


ALLYであることを表明できるステッカーを制作したことを共有する担当者

文=松岡 宗嗣

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