こうして服装規定の緩和が進むことで、従業員にとっての快適さと柔軟性が向上する一方、さまざまな解釈の余地も生まれる。そのため今年は、「ビジネスカジュアル」という言葉の意味を細かく理解することが欠かせない。
人材紹介会社ロバート・ハーフ傘下のオフィスチーム(OfficeTeam)のステファニー・ナズニツキー常務取締役によると、現在ビジネスカジュアルとされる服装について厳格なルールは存在しないが、関係する要素を理解していれば、ビジネスカジュアルを着こなすことができる。
まず考えるべきなのは業界だ。ナズニツキーいわく、「テクノロジー企業やクリエーティブ企業は従来、カジュアルな雰囲気を持ち、あまりフォーマルではない服装が適していることで知られている」。しかし、ドレスコードを緩める業界が増えているとはいえ、その境界線は人々が思うよりも曖昧になっているかもしれない。
「金融や法律などの分野はいまだに、『略式』な服装でさえも『堅い』傾向がある。元々保守的な分野で、顧客に対面することが多いこの業界の人々は、タイトなワンピース、前開きのシャツやジャケット、スポーツコートを着ることが多い。中には、重要な会議やヒアリングで、会社の服装規定に定められていなくても上下合わせたスーツを着る人もいる」(ナズニツキー)
どこまで調整ができるかは、元々の服装規定や基準によって変わるため、何が適切な服装とみなされるはそれぞれの雇用主によって違う。
2つ目が、役職と経験だ。ビジネスカジュアルの意味は、あなたが採用候補者なのか、若手社員なのか、それともベテラン管理職なのかによって変わり得る。
論理的に考えて、経験が少ない人ほど、服装はフォーマルであるべきだ。ナズニツキーは、採用候補者はその会社の規定内でフォーマル寄りの服装にし、将来同僚になるかもしれない人の服装をまねることを勧めている。その企業の「ビジネスカジュアル」について確信が持てない場合、面接前に会社が入る建物のロビーに行ってみたり、転職エージェントの知恵を借りたり、企業のソーシャルメディアページに投稿されている社員の写真を探したりするなどの対策を取ろう。
新入社員の場合は、会社に慣れるまで地味な服装をする方が良い。ナズニツキーは「同僚、特に管理職や役員の職場での服装を観察し、その中で一番良いものをまねする。自分の役職ではなく、自分が就きたい役職に合わせて服を着ること」と述べた。