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2019.06.11 07:30

アジャイル型で作品を生み出す、アート思考ワークショップがいま必要な理由

フランス「Orange」の社員が生み出した作品

フランス「Orange」の社員が生み出した作品

私が「ポリネーター」という言葉に出会ったのは、イギリスの南西部にある「Eden Project」を知ったときのこと。「Eden Project」とは、世界中の植物とその媒介者である蜂や鳥、コウモリを共存させ生態系を「自発的」に学べるようにしている植物園のこと。

そこで学習を深めているなかで、「ポリネーション」または「ポリネーター」という言葉がよく出てくる。多様な花畑を飛び交い花粉を運び、そして蜜を作る「蜂」というポリネーター(媒介者)の存在が、現代社会における自分の役割に近いと感じ、そこから自分の肩書のひとつとして「ポリネーター」という名称を使うようになった。

そんな「ポリネーター」として最近エネルギーを注いで、ブンブンと接点を作りに飛び回っているのが「アートとビジネス」をつなぐ「Art Thinking Improbable Workshop」である。フランス発のこのワークショップに出会い、体験し、その内容・効果に興奮し、好きが高じて昨年仲間と一緒に日本に持ってきた。


日本に「Art Thinking Improbable Workshop」を持ち込んだときのチーム

この3日間のワークショップのユニークな所は、アーティストを講師に迎え、講義と手を動かすワークショップを経て、最終日に「作品」として成果をアウトプットするところにある。 受講者の内に宿る「自分はこれをやりたいんだ!」「自分の意見はこれだ!」というパッションを導きだし、作品として産み落とす。それは、自分の中に眠っている「創造性」や「自発性」を導き出すのに有効な手段である。

この「Art Thinking Improbable Workshop」はフランスで2008年にスタートし、通信キャリア「Orange」や「Canon France」、パリのデパートで有名な「ギャラリー・ラファイエット」、そしてビジネススクール「ESCP」、軍学校「Ecole de Guerre」などの企業や学校で実施されている。

また、シングル・マザー向けの起業支援プログラムの導入として活用されていたり、30歳以下しか入学できないプログラミング特化型学校「Ecole 42」では若い起業家を育てるプログラムの一貫としても採用されている。

さらにフランスだけではなく、ノルウェイ、スウェーデン、イギリス、ドイツ、スペイン、カナダ、アメリカ(スタンフォード大学)、そして昨年から日本でも展開されている。

大学時代に舞台(照明・ダンス・演劇)に熱中し、舞台関係の仕事に就きたいと思いつつも「ビジネスとアートは同時成立しない」と、その当時の固定観念に飲み込まれて舞台を諦めた私としては、「アートとビジネス」の接点を作るワークショップの存在自体にワクワクしたのだが、その効果にも興奮をしている。

企業や学校はなぜ「Art Thinking Improbable Workshop」を採用するのか。それは、創造性や自発性が高まることによって、起業家精神をもった人材を増やすことができるからである。
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文=西村真里子

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