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2019.06.11 07:30

アジャイル型で作品を生み出す、アート思考ワークショップがいま必要な理由


そうなったときに、「Orange」としてどのようなサービスが提供できるのかを考え、作られた作品が「Death Box(デス・ボックス)」だ。これには、健康不良を察知し病院に伝える、死期を察知し葬儀屋に連絡するなどの機能が搭載。デス・ボックスが提供するサービスは倫理的な問題も含むため、通常の会議室ではディスカッションが憚られるものを「アート作品」として昇華させ、チーム内、そして鑑賞者の意見を誘発するものである。

女性の生産性(2018)日本



「動物としての生産性」と「仕事としての生産性」のピークが重なっている現状が、不妊症や少子化の一要因になっているのではないか。若いうちからやりがいのある仕事を経験すること、そして子どもがある程度育った後の職場復帰を歓迎する社会をつくるべきではないか。

そんな問いを掲げ、医大学院を出た投資家とビジネスパーソン、アーティストが組んで作り上げた作品。内側の円を月経の周期=女性の生物としての成熟周期を表しており、周囲の本はその周期に合わせたセレクトがされている。

日本で第一回目に開催した「Art Thinking Improbable Workshop」を受講したビジネスパーソンは、その効果を以下のように語る。

「講義で中国のアーティスト、アイ・ウェイウェイの作品を教えてもらった。象徴的な場所に中指を突き刺しているとても攻撃的な作品なのだが、監獄に入れられてしまうような表現も芸術家は恐れずに行い社会に気付きを与える。それはジャーナリズムよりも時にインパクト強く直接的に訴えかける。アートは時に効率的に人に伝えたいことが伝えられる手段になることを学べたのがとても印象的だった。アート作品やその手法を織り交ぜることが、ビジネスにとっても有効的なシーンが多そうである」


中国のアーティスト「アイ・ウェイウェイ」の作品を例に進める「Art Thinking Improbable Workshop」講義資料一部。

そう「Art Thinking Improbable Workshop」で扱う“アート”とは、綺麗なものやエレガントなものではなく、人びとに問いかけ、時に刺激するような現代アートを中心にしている。

誰かの指示を待つ時代は終焉を迎え、自ら動き、働きかけられる活発な人材が求められている。そのような時代へのイントロダクションとして「Art Thinking Improbable Workshop」はより重要な意味を持つはずだ。

文=西村真里子

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