水ぼうそうパーティーでは、親らが水ぼうそうのウイルスに感染した子どもを少なくとも1人招待し、他の子どもたちと交流させることによってウイルスを拡散して全ての子どもたちを意図的に感染させることを目指す。親たちがパーティーの真の目的を子どもに明かすことがどれほど頻繁にあるかは不明だ。
米ケンタッキー州のマット・べビン知事は米ラジオ番組に対し先日、こうした方法で水ぼうそうに故意に子どもをさらすことは許されると示唆したようだった。べビンは次のように語った。
「私の子どもたちは全員、水ぼうそうにかかったことがある。水ぼうそうにかかっている隣人がいたので、子どもたち全員がウイルスにさらされるようにすることで、わざと子どもを感染させた。子どもたちは数日間は苦しい思いをしたが、その後は全く大丈夫だった」
子どもたちが「大丈夫だった」と言うことは、「顔を殴られたが大丈夫だったので、わざと顔を殴られるようにしても大丈夫だ」と言うようなものだ。他の人がリスクにさらされ大きな問題にならなかったからといって、自分や子どもたちが同じリスクにさらされるべきだということではない。
水ぼうそうにかかる弊害
水ぼうそうに故意にかかることは、非常に悪質なルーレットゲームをするのと同じだ。感染してもせいぜい5~10日間、熱や食欲減退、頭痛、疲労困憊(こんぱい)、かゆみ、かゆみを伴う発疹を経験するだけだろうが、肺炎や脳炎、小脳性運動失調、出血の問題、敗血症、肌・軟組織・骨・血液の細菌感染などさらに深刻な症状に発展する可能性もある。
また、水ぼうそうで死亡する可能性さえある。健康的な子どもの場合、こうした深刻な合併症になる可能性は極めて低いが、乳児や大人、あるいは免疫系が弱くなっている人などはリスクが高まる。さらに、妊娠中の人がこのウイルスに感染すると出生異常が生じる可能性もある。
水ぼうそうのワクチンがあるにもかかわらず、なぜ水ぼうそうパーティーを開催したり出席したりするのだろうか? ワクチンを受ければ、ウイルスに自然にさらされるのと同等の保護を得ることができる一方、水ぼうそうがもたらす症状を経験せずに済むためより安全だ。自分や子どもたちを、深刻な合併症のリスクにさらすこともない。
水ぼうそうパーティーを開催する親たちは、ルーレットを回してサイコロを転がし、運を試しているだけで、子どもを不必要な危険にさらしている。米国で水ぼうそうパーティーがいまだに存在する以上、全てがうまくいくとは限らない。