また、下着と同様、インフルエンザの予防注射の効果は永遠に続くわけではない。効果の持続期間は人によって大きく異なるものの、場合によっては6カ月ほどで消えてしまう。(それでも同じ下着を着ている期間よりはずっと長いと言える)。生後6カ月未満の乳児と、予防接種を受けてはいけない医学的理由(命を脅かすアレルギーなど)がある場合は除き、インフルエンザの予防接種を毎年受けなければいけない理由はここにある。
もう一つの理由は、インフルエンザウイルスがまるでリアリティー番組のスターのように、毎年新たに現れては去っていくことだ。ワクチンに入っており、予防効果が発揮されるウイルスの種類が毎年異なるのもそのためだ。
毎年予防接種を受けることで、インフルエンザに対する免疫が何らかの理由で弱まるのではないかと心配している人もいるかもしれない。
米医学誌ジャマ・ネットワーク・オープン(JAMA Network Open)に先日掲載された研究は、インフルエンザの予防接種とその効果を調査したものだ。研究チームは2013~14年、2014~15年、2015~16年のインフルエンザの時期に、ベイラー・スコット&ホワイト・ヘルス(テキサス州)、マーシュフィールド診療研究機関(ウィスコンシン州)、バンダービルト大学医療センター(テネシー州)、ウェイクフォレスト大学医学部大学院(ノースカロライナ州)の外来患者向け診療所を訪れた子どもたちを対象に調査を行なった。調査の対象となったのは、熱と急性呼吸器疾患を発症した2~17歳の子どもたちだ。
研究チームは同調査で3369人の子どものデータを記録し、子どもたちはそれぞれインフルエンザの検査を受けた。研究者らは子どものインフルエンザ予防接種状況を確認し、その年と前年のワクチン接種状況により次の4つのグループに分類した。
・その年と前年どちらも予防接種を受けた
・その年だけ予防接種を受けた
・前年だけ予防接種を受けた
・どちらの年も予防接種を受けなかった
インフルエンザに陽性反応が出た子どもは23%(772人)で、インフルエンザのワクチン接種を受けていたのは半分(1674人)だった。米国では、子どもは毎年2種類の異なるインフルエンザ予防接種のうち1つを受けることができる。一つは弱められた生ウイルスを鼻に噴射するもので、もう一つは死んだウイルスを腕に注射するものだ。