世界規模で異常気象や大規模な自然災害の危険性が高まるなか、私たちはどのように環境へのダメージを低減し、サステナブル(持続可能)な社会を作っていけばよいのでしょうか? 米国のあるコミュニティを参考に考えていきたいと思います。
サステナブルな社会づくりの実践者
米バーモント州ハートランドに、コブ・ヒル(Cobb Hill)というエコ・ヴィレッジがあります。池田香代子氏の本『世界がもし100人の村だったら』の原案となった「State of the Village Report」の著者、ドネラ・メドウス氏が1995年に持続可能な生活に重点を置いたコミュニティのアイデアを生み出し、2003年に完成した村です。
メドウス氏は2001年に亡くなりましたが、彼女のビジョンに共感した人たちがコミュニティを実現化し、自然と共存する暮らしを送るための実験を繰り返しながら、生活を続けています。
270エーカー(33万坪)の広大な敷地には、森林、牧草地、農地があり、子供20人を含む23家族65人が、3つのアパート、6つの複式アパート、8つの戸建てに住んでいます。コモンハウスという公共の建物があり、会議や全員で食事ができるスペース、ゲストルーム、子供のプレイルームなどが設けられ、ここでコミュニティ運営のための会議が開かれています。
コブ・ヒルは畜産や農業を営んでいますが、自給自足のシステムを目指しているのではなく、病院勤務、中小企業の経営者や州議会議員、非営利組織の職員など、コミュニティの外で働いている人も多く、公共活動に加えて、個々人の生活も大事にされています。
(c) cobb hill
「進化」は早くなくてもいい
コミュニティでは、よりサステナブルな生き方を見つけるために、様々な技術を吟味。コンポストトイレやバイオマスによる地域暖房を利用したり、農地を可能な限り広く確保するため、住居を斜面にクラスター構造で配置するなどの実装をしてきました。
コブ・ヒル立ち上げ当初はまだ機能が不十分だった太陽光発電も、現在は非常に効率がよくなり、次の段階として、太陽光発電をどう活用したら、すべてのエネルギーを自然エネルギーで賄えるのかを探っているところだそうです。
太陽光パネルを大規模に導入することで、生態系にどのような影響がでるのかも含めて検討しているため、歩みはとてもゆっくりにも見えますが、様々な角度から熟慮して実験を繰り返しながら進化させています。