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渋谷のヤフージャパン広告(GettyImages)

画面上では数秒でスワイプ、もしかしたら何かを「見ている」という認識すらないかもしれない。ウェブやSNSが発達し、デジタル上で消費者の視界を奪い合う広告界。一方で、そんな流れに逆行する、視点を変えた「リアル」な広告が注目を集めている。

リアルに「ちょっと役に立つ」斬新な広告でブランドイメージをの向上をさせた事例の1つがIBMだ。

最近、こんなツイートが話題になった。
パリ市内で、壁面広告を「雨よけ」「ベンチ」「スロープ」の3種に変身させた、と話題になった。広告を人々の生活の一部とすることで、「ちょっと気が利くIBM」を印象付けた。

この広告シリーズのテーマである「スマーター・シティー・チャレンジ」プログラムは、2010年以来IBMコンサルティングを通して住宅、経済発展、移民、市民安全といった都市に関わる課題を解決し、住みやすい都市構築を目標に行われてきた。2013年の候補都市であったパリでのIBMの取り組みは、世界最大級の広告祭である「カンヌライオンズ」のアウトドア部門のグランプリに表彰された。

近年、他にもこのような「リアル」な広告がSNS間で拡散されることにより、課題解決に焦点が当たるという流れがよく見られる。

2017年の国際女性デーを記念して、ニューヨークに資産運用会社ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ発注によって設置された『Fearless Girl(恐れ知らずの少女)』像は、ウォール街の男性社会を象徴する『突進する雄牛』像の前に力強く立つ凛々しさから、「労働環境での性差別を無くしたい」というメッセージを越えて多くの人を勇気づけた。


『突進する雄牛』像に向かう『Fearless Girl(恐れ知らずの少女)』像(GettyImages)

日本でもリアルな広告が啓発を促している例がある。ヤフージャパンが「もしここ渋谷に来ていたら、ちょうどこの高さ」と東日本大震災の津波を表した巨大広告をが掲示し、震災や津波の危険を幅広い世代に届けるメッセージを発信している。

ともすれば一方通行的になりがちな広告のアプローチだが、「人々に気づきを与える」「役に立つ」といった目的を付け加えることによって相互的な関係に変えた斬新さは人々を改めて魅了する。

近年、SNS上で広告主と受け手がやり取りをするケースが増えているが、一見時代と逆行しているように思えるリアルなアナログ広告とソーシャル上での拡散のコラボレーションが、人々の心を打ち、広く届のだろう。本質的な課題に向き合う広告も含めた企業の取り組みやメッセージは、社会全体の根本的な課題解決への一歩となるのではないだろうか。

文=猪俣由香

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