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米国ではインターネット経由で医療診療を行う遠隔医療(telemedicine)が盛んになりつつあるが、遠隔医療で風邪の診断を受けた子供は、対面の診断と比較して、より多くの抗生物質を処方される傾向があることが分かった。

これにより、過剰な処方が起きる可能性や、薬に耐性を持つウイルスが生まれることが懸念される。

医学ジャーナルのPediatricsで公開された論文で、2015年から2016年に呼吸関連疾患で保険医療を受けた、34万人以上の子供らの調査データが明かされた。そのうち、風邪の診断を遠隔医療で受けた子供は、クリニックで診断を受けた子供よりも抗生物質を処方されるケースが、非常に高いことが判明した。

なかでも、かかりつけの医師の助言を受けないダイレクト・トゥ・コンシューマー型の遠隔医療で診断を受けた子供が、抗生物質を処方される割合は、50%以上に達していた。この割合は救急クリニックでは42%、一般的な診療所では31%だった。

今回の研究では、遠隔医療の医師の医薬品の処方が、医療機関のガイドラインに沿っていない場合が多いことも指摘された。風邪の原因の多くはウイルス感染によるものだが、ウイルス性の風邪の場合、抗生剤は効かない。

研究チームは遠隔医療で抗生物質が処方された事例の10件に4件が、ガイドラインに合致しない処方だったとした。この比率は救急クリニックでは10件中3件、一般的な診療所では10件中2件だった。

不必要な抗生物質の処方が、医薬品耐性を持つ細菌の増加や副作用、医療コストの上昇につながりかねないと、研究チームは指摘した。論文の筆頭執筆者のKristin Ray医師はAP通信の取材に「遠隔医療は便利なものではあるが、そこで行われる医療サービスの質と安全性を見極める必要がある」と述べた。

AP通信によると、先日行われた別の調査では、成人への抗生物質の処方に関しては、遠隔医療と対面の診断の間にほとんど差がなかったという。しかし、その調査では子供への処方に関するデータがほとんどなく、ダイレクト・トゥ・コンシューマー型の遠隔医療で風邪の診断を受けた子供は1%しかいなかった。

遠隔医療はコストに敏感な忙しい消費者の間で支持を得つつあるが、その有効性についてはさらに調査を進める必要がある。

編集=上田裕資

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