・雇用主への罰則規定
一般に、(雇用主が)被雇用者1名の有給休暇に関する規定に反した場合、100〜600ユーロ(約1万2500〜7万5000円)の行政当局への罰金の支払いを命じられる。
6名以上の労働者についての違反、あるいは最低でも2年間の違反が確認された場合、400〜1500ユーロ(約5万〜19万円)の罰金。
11名以上の労働者についての違反、あるいは最低でも4年間の違反が確認された場合、800〜4500ユーロ(約10万〜56万円)の罰金が命じられ、その支払い金額の減額は認められない。
・病気による有給休暇の保留
有給休暇の消化中に罹病した場合、その病気が有給休暇の機能、つまり休養とレクリエーションを通して精神的・身体的な活力を回復させるという目的を害していると認められるときは、有給休暇の消化が中断される。
有給休暇から病気による欠勤への切り替えは、INPSに診断書をデータ通信を利用して送付することで、雇用主に病状が伝達されることによってのみ実施される。
INPS(全国社会保障保険公社)は、最低4週間の有給休暇がその付与日から18カ月経過してもまだ消化されていない場合、6月30日の時点で消化されていない分につき、雇用主は分担金の支払いを課せられるとしている」
(注:INPS(全国社会保障保険公社)とは、老齢年金、障害年金などの各種年金制度に加え、失業保険、出産・育児休暇時の保障、病気による欠勤・休職時の補償などの社会保障に関する業務を行う公的機関。)
クリッシ氏は、「有給休暇は、労働者が精神的、身体的に満たされるための権利です」と話す。「満たされて初めてよいパフォーマンスが発揮できるし、会社にとってもメリットになるのです」。
日本の場合、今回の義務化で定められた有給日数は1年で「5日」、しかも、年次有給休暇を10日以上付与される労働者が対象だ。翻ってイタリア=「有給取得率世界6位」の国でさえ、①日本の5倍以上にあたる26日、②例外なし、試用期間の労働者も対象、③うち14日は「バラバラでなく通しで」取得させなければならない、を定めている。
違反した場合に雇用者に課せられる罰則規定だけは「従業員1人につき30万円」とする日本の方が厳しいが、いずれにせよ「働き方」に関して日本は、まだまだ国際的ではないと言えるのかもしれない。