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グローバル・シチズンズ・イニシアチブ代表 桑名由美

日本人にとって、世界で活躍するには大きい言語の壁。10代から多言語、多文化の中で人々を率いるマインドを育んで欲しいと、ハーバード大学で培ったメソッドを日本に移管しようと取り組んでいるのが、グローバル・シチズンズ・イニシアチブの桑名由美だ。

自身の10代はアメリカと日本との行き来で言語の習得に困難を感じ、劣等生として苦労した。この時に感じた、「どうすれば多言語、多文化の中で、不自由なく、社会にフィットし、能力を発揮できるようになるのか?」というテーマが、「文化の違いを乗り越え、グローバルに活躍していってほしい」という子ども達への願いにつながっている、という。

──桑名さんが代表を務める、GCI(グローバル・シチズンズ・イニシアチブ)について教えてください。

GCIは、多言語を話し、理解し、倫理的な判断ができる世界のリーダー「グローバル・シチズン」を育てることを目標として2011年に設立したNPO法人です。現在は私を含め、7名のチームで活動しています。

アメリカで長く仕事してきたネットワークを生かし、プログラム運営はPWCでグローバルビジネスの統合を率いた経験を持つリタ・ゲイル・ジョンソン氏、ボードメンバーにはハーバードビジネススクールのリーダーシップ研究の権威、リンダ・ヒル教授らに参画いただいています。

定期的な活動としては、社会、経済、政治を横断して世界にポジティブな変革をもたらす次世代のグローバル・シチズンを育てるべく、GCI式のプログラム「GCIサミット」を毎年夏に、ハーバード大学で開催しています。

グローバルな問題に関心のある高校生が世界中から集い、9日間生活をともにしながら、グローバルな問題をローカルに解決するための力をつけるプログラムに参加してもらいます。生徒は毎年28人、メンター12人の体制で、デザイン思考と人間の結束性を重視したディスカッション方式のプログラムを行っています。

ただ学ぶのではなく、実際に学んだことを活かして思考力や行動力に繋げていくことが大切なので、プログラム終了後は、一対一のメンターとともに、9ヶ月間かけて出身国のコミュニティで問題解決に取り組んでもらっています。また、生徒だけではなく、教育者の学びの場としても活用してもらっています。

──高校生を対象にプログラムを開催されているのはなぜですか。

世界に通用する筋肉を鍛えるためには、4つのC(Creativity、Communication、Critical Thinking、Collaboration)が必要です。これからの時代には、AIやロボットにはできない、これらのヒューマン・キャピタル(人間の能力)がますます重要になります。

次世代のリーダー達がこの4つのCを身につけるためには、大学卒業時に突然「社会人になったら、グローバルな人材として活躍しなさい」と伝えるのではなく、高校生のうちから、必要なタイミングで、必要なマインドセットや力をつけていく必要があると考えています。

1年間に受け入れられる規模はまだまだ小さいですが、他の国でもそういったサミットを提供できるパートナーを見つけていき、世界に広めていくことで、世界に通用する人材を育成していきたいと考えています。今年の夏は日本でも開催するので、大きなチャレンジです。

構成=小野瀬わかな イラスト=Kyle Hilton

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