Michel Tripepi (Getty Images)

近年、ジェンダー・ダイバーシティ(性別にとらわれない多様性)を意識し、女性活躍や#Metooキャンペーンをテーマにした企業のCMが欧米でも日本でもよく見られる。

しかし、製作者が意図しなかった受け止められ方をしたり、メッセージをひねりすぎてかえって性差別ととられかねないメッセージになってしまったりと、炎上や批判の矢面に立たされる広告も少なくない。

広告の制作には当事者である女性が参画しているケースもある。なのに、なぜ女性から反感を買ってしまうのだろうか。

女性活躍推進やダイバーシティに対する企業の姿勢を広告メディアを通じて表明すること自体は素晴らしい。しかし、なぜそれが意図に反して炎上してしまうのか?

長年、ダイバーシティ&インクルージョン推進の仕事に携わってきて感じることがある。ダイバーシティという言葉がバズワードのように独り歩きし、企業としてポジティブな活動をしているはずなのに、ダイバーシティの本質がぼやけてしまっているのではないかと。自分たちがどこに向かっているのか、何のためにやっているのか、誰のためのものなのか――企業自身が目的と手段がわからないまま、もしくは途中で見失ってしまい、迷走してしまうのだ。

ダイバーシティ&インクルージョンを考慮したメッセージを配信するには、以下のような「3つのC」の視点が重要であると考える。



これのいずれかが欠けているメッセージが発信されている場合、炎上する可能性がある。顧客・消費者に向けた広告が炎上しているのだから、社内向けのメッセージでも無意識に従業員を傷つけていたり信頼を損なっていたりすることも想像がつく。

今回のコラムは、「炎上は企業側が意図したものでなかった」という前提に基づいて考察していきたい。

企業は今、何の目的で誰のために広告を出すのかをあらためて考える必要がある。そして広告を流すメディアも、従来のオンライン/オフラインの2つでは括ることができないくらい多様化している。発信する情報の影響力も意識したほうが良い。

記憶に新しい広告では、西武・そごうの「わたしは、私。」がある。


西武そごう広告「わたしは、私。」

私はこの広告を最初に目にしたとき、日本でも女性活躍やダイバーシティ&インクルージョンを意識した広告が作られ始めたことに非常に嬉しくなった。しかしながら、よく言えば芸術的な描写ではあるが、新聞や動画といった大衆向け広告としては、西武・そごうの意図や姿勢がClearでなかったように思う。
 

文=蓮見勇太

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