「ヒルトン オースティン」の会場でピッチを終えた7つのプロジェクトの代表者たち
折り紙の技術であらゆるものを折りたたむ「OUT SENSE(アウトセンス)」
宇宙へ憧れを抱き、宇宙建築という学問に興味を持ったメンバーたちが開発したのが、三次元展開構造物という折り紙技術を用いて造る居住空間だ。現在、ISS(国際宇宙ステーション)の建設には、10年以上の時間がかり、室内スペースが非常も狭い。
そこで、折り紙のように折り畳んだ状態で建築物の構造を打ち上げ、宇宙で自動展開することで比較的短期間で、面積の広い建造物が実現可能となる。
見本市では、宇宙建築という用途に限らず、宿泊施設を運営する企業や、避難施設としての用途として問い合わせを受けたこともあったという。
五輪競技になるサーフィンの普及につながるか「jellysurf(ジェリーサーフ)」
2020年から、初めてオリンピック競技に登録されるサーフィン。こちらもメンバーの「好き」が高じて製品化したプロジェクトだ。ジェリーサーフは、海の上で光るサーフボード。波に乗っている時のサーフボードの動きに応じて光を放つ。
将来的には、プロのサーファーのスキルをボードに内蔵された装置から読み取り、可視化することで、一般消費者の技術向上を手助けすることも目標としている。
全身が空中に浮く感覚が手に入る「Levio Pole(レビオ ポール)」
チームを率いる佐々木智也は、「誰も経験したことのない体験を自分で作り出したかった」と、全身でVR体験を楽しむことができるレビポールの開発経緯をピッチで語った。
TODAI TO TEXASの見本市のブースでもっとも人を集めていた、レビポール。ユーザーがVRマスクを装着すると、都会の高層ビルの屋上からの景色が広がる。手にVRマシンと連動するポールを持ち、スタッフの合図を手に合わせてその場でジャンプをすると、高層ビルから飛び降り、空中遊泳をしているような感覚が味わえる。
第4次産業革命を支える?「Eagle 3D Photonics(イーグル3D フォトニクス)」
「人口知能やAIの力で、もの作りの生産性効率を図る第4次産業革命に貢献したい」というビジョンを掲げるのが、高精度3Dレーザースキャナーのイーグル3Dフォトニクスだ。
これまで、3Dデータとして取り込んだ対象物のデータから立体物を作る3Dスキャナーは、「LiDAR(ライダー)」という技術を用いて対象物の光の検出から距離の測定をすることが主流だった。しかし、高精度の3D測定には対応をすることができていなかった。イーグル3Dフォトニクスが注目を集めるのは、高速、さらに高精度で3D情報を取得する点だ。
実用化が実現すれば、自動車製造生産ラインでの自動キズ検出や、他の分野でも品質チェックの工程に活用され、工場生産ラインのあり方を大きく変える可能性がある。
今年、TODAI TO TEXASのチームがアワードを受賞することはなかったが、SXSW見本市への出展から事業がスケールすることは大いにあり得る。今後この7つのプロジェクトはどう進化するか、見届けたい。