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2019.03.20 15:01

夢の音楽フェスはなぜ、失敗に終わったのか? 「FYRE」から学ぶ、SNS時代に必要な企業の価値観

Konstanttin / Shutterstock.com


地獄絵図と化した現場
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夢のチケットを持った参加者がファイア・フェス初日に見たもの。それは、ラグジュアリーとは程遠い光景だった。設営が間に合っていない現場に並んだ簡易テントに、前日の雨でずぶ濡れになったマットレス。それどころか、トイレや電気などの最低限のインフラも整っていなかったのである。

5つ星レストランの食事が提供されるはずが、配られたのはパンとチーズ、そして少量のサラダのみ。やがて日が沈み、寝どころを確保するためのマットレスの取り合いが始まり、しだいに暴徒化。豪華なはずだったフェスは一転し、カオスと化した。

参加者が現場の様子をSNSにアップしたことにより、翌日に多くのメディアがファイア・フェスの大失敗を取り上げる事態に。参加者が騙された哀れな姿をあざ笑うかのようにSNSで次々と拡散され、大炎上する事態となったのだ。
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インフルエンサー・マーケティングが生み出した今世紀最大の失敗

ファイア・フェスの参加者の怒りは、モデルたちにも飛び火した。彼女達は、詐欺に加担した加害者なのか?それとも、ファイア・フェスにより名誉を毀損された被害者なのか?

宣伝に関わったモデルのケンダル・ジェンナーは1投稿で25万ドル(約2700万円)を得たことが番組内で暴かれているが、こうした無責任なプロモーションが詐欺の被害を大きくした。のちに彼女たちは謝罪をすることになったが、世間から大きくバッシングを受けた。

フェスを中止にするという選択肢があったにも関わらず続行された理由は、主催者のビリーの愚行にある。彼に忠告をしたことにより解雇されたチームメンバーは、準備が間に合わない状況であっても、ビリーは「なんとかしろ」の一言で、問題に真摯に向き合おうとせず、最終的にはイエスマンしか残らなかったと語っている。

ビリーは準備期間の時点で「服を脱いで撮影をしよう」という話をモデルに持ちかけたり、「負け犬達に夢を売るんだ」と発言をしていたが、中心人物である彼がこのプロジェクトを成功させる気があったのかと疑問に思うほどの悪態だ。

世紀の大失敗から学ぶ教訓

誇大広告による「見せ方」だけにこだわった結果、中身のないものを売る詐欺集団を生んでしまったファイア・フェスは、初日に中止となった。ビリーは詐欺罪で禁錮6年の刑が科され、更に2600万ドル(約29億円)の支払いも命じられた。

このような事件が2度と起こらないように、私たちはメディアの情報を見極める必要がある。フォロワーを多く抱える著名人が宣伝をしたことにより、このような悲惨な事態を招いてしまったのだから。

日常的に使っているSNSに騙される可能性が潜んでいるという恐怖を肌で感じるこの作品は、一見の価値ありだ。

文=加藤優花

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