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カイリー・ジェンナー

10歳のころから家族とともにリアリティショーに出演していたカイリー・ジェンナー。有名人だからこそ可能だった常識破りのビジネスとはいったいどんなものなのか?


カイリー・ジェンナーは今年、4年目となるフォーブス誌「自力で富を築いた米国の女性富豪ランキング」に入った最年少の人物となった。事業の成長がさらに1年続けば、マーク・ザッカーバーグを抜いて、性別に関係なく史上最年少の自力で財をなしたビリオネアとなる。

「カーダシアン・ジェンナー産業複合体」の最年少メンバーである彼女は、史上有数の人気を誇る化粧品会社「カイリー・コスメティックス」の経営者。8月に21歳になった。2月には娘を出産している。

創業は2年前。29ドル(約3200円)のリップスティックと同色のリップライナーのセット「リップキット」を発売し、これまでに6億3000万ドル以上を売り上げた。うち約3億3000万ドルは2017年の売り上げで、控えめに見積もっても企業価値は約8億ドル。カイリーはそれを100%所有している。

テレビ出演やスニーカーのプーマやファッションブランドとのエンドースメント契約で稼いだ数百万ドル、カイリー・コスメティックスから得る推定6000万ドルの税引き後配当金を加えると、カイリーの資産価値は少なくとも9億ドルほど。

カイリー・ジェンナーはセレブとして育った。母クリス・ジェンナーと父ケイトリン・ジェンナー(元オリンピックアスリートのブルース・ジェンナー)の末娘であり、スーパーモデルのケンダル・ジェンナーは実姉だ。

キム・カーダシアン・ウェスト、コートニー・カーダシアン、クロエ・カーダシアンを異父姉、ロブ・カーダシアンを異父兄に持ち、一家で出演してきたテレビのリアリティショー『カーダシアン家のお騒がせセレブライフ』が初めて放送されたのは、カイリーが10歳のとき。


カーダシアン一家(photo by gettyimages)

その後母親によって、モデルとして英国の小売店トップショップやネイルブランドのシンフル・カラーズなどのエンドースメント契約を勝ち取り、7桁台を稼ぐようになった。

ソーシャルメディアの申し子

テレビカメラの前で育ったことを考えれば驚くことではないが、カイリーは常に、特に外見において早熟だった。

「6年生から紫のアイシャドウを塗っていたわ。もっと自分に自信を持ちたくて」

ユーチューブの動画を見たり、テレビ出演や写真撮影の際にプロが自分の顔に施すメイクを逐一観察したりしてメイクを学んだ。唇に自信がなかったため、唇より外側に輪郭線を描いて唇を大きく見せるのが習慣になったという。14年8月には17歳にして「カイリー・リップキット。完璧なぽってりリップをあなたに」というフレーズを商標登録した。事業を立ち上げる2年前のことだ。

異父姉のキム・カーダシアン・ウェストは豊満なヒップを流行らせたのに対して、カイリーが流行らせたのはそのぽってりした唇。キム同様、自分の体という“資産”を活用して知名度と大金の両方を手に入れたが、特に後者がより得意だったようだ。それも歴史的なやり方で。

「ソーシャルメディアは素晴らしいプラットフォームよ。本当に簡単にファンや顧客にアクセスできるんだもの」とカイリーは言う。ソーシャルメディアとトレンドの創出が彼女のビジネスのほぼすべて。ヒューレット・パッカードは自宅のガレージで起業したが、カイリーはそれを自宅のキッチンテーブルでやったのだ。

カイリーのビジネス帝国は、わずか7人のフルタイム従業員と5人のパートタイム従業員からなる。製造や包装、梱包は、近隣の街にあるプライベートラベル製品のメーカーに委託。販売や受注、注文管理はECプラットフォーム「ショッピファイ」でやればいい。財務や広報、実際の事業経営は、カイリーの母親でやり手のクリスが担っており、その代わり10%のマネジメント料を子供たちから受け取っている。

text by Natal ie Robehmed photograph by Jamel Toppin for Forbes translate by Rie Kimura

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