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2019.03.17

禁錮7年の「米国で最も憎まれた男」、収監後も経営に関与か

マーティン・シュクレリ(Photo by Drew Angerer/Getty Images)

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は先ごろ、米製薬会社チューリング・ファーマシューティカルズの最高経営責任者(CEO)だったマーティン・シュクレリ受刑者は服役中でありながら、同社の経営を続けていると報じた。

ニュージャージー州フォートディックスにある連邦刑務所に収監されている「ファーマ・ボーイ」ことシュクレリ受刑者は昨年、禁錮7年を言い渡されている。

フェニクサス(Phoenixus)は、「チューリング」と「シュクレリ」のイメージを拭い去るために新たに付けられた社名だ。それでも同社は、受刑者には所有が禁じられている携帯電話を通じて、前CEOと連絡を取り続けていたことになる。

だが、そこで大きな疑問として浮かんでくるのは、「刑務所にいるシュクレリと電話で話すという違法行為を犯してまで頼らなければならないほど、彼は偉大なCEOなのか?」ということだ。刑務所の外に、優秀なCEOはいないのか?

米連邦刑務所局(BOP)は、この問題に関するWSJの報道を深刻に受け止めている。恐らく同紙の記事を受け、BOPはシュクレリを隔離した。

これまでにも、ブログへの投稿やポッドキャストでの配信をしていたその他の受刑者が、BOPから処分を受けていることが分かっている。隔離されれば、(携帯電話も含めた)私物を全て没収され、1日23時間にわたって行動を制限される。

BOPは規律違反を軽度から重大なものまで4段階に分けているが、刑務所内で事業活動を行うことは、下から2番目の中程度の違反だ。ただ、携帯電話の所持は最も重大な違反とされている。刑務所内で刃物を隠し持っていた場合と同程度の違反とみなされるのだ。

BOPによれば、最も重大な違反を犯した受刑者に対しては、売店や電話の使用や面会の禁止、賠償・罰金の支払い、最長12か月間の隔離などの措置が取られる。

シュクレリは量刑の言い渡し前にも、ヒラリー・クリントン元国務長官に危害を及ぼし得る問題を起こしており、BOPの警戒リストに名前が入っていたはずだ。だが、これまでのBOPの監視が不十分だったことは間違いない。

受刑者は面会に来た人たちとじかに接する(間にガラス窓はない)こともあり、刑務所内には携帯電話をはじめ、禁止されているさまざまな物がひそかに持ち込まれている。BOP職員の問題も忘れてはいけない。報酬と引き換えに、受刑者に頼まれたものを持ち込んでいる者がいることも知られている。

こうしたことが起きているのは、最小限の警備で運営されている刑務所だ。シュクレリについては、警備レベルを強化することが対策の1つと考えられる。

筆者の友人である元BOP職員は、「シュクレリのような連中は、刑務所の中で退屈している。だから、いくつもの問題を起こす。今回の件についてBOPは、かなり厳しい態度に出るだろう」と語っている。

編集=木内涼子

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