暴行をでっち上げ容疑の米俳優、ドラマ1話のギャラは1400万円

ジャシー・スモレット(Photo by Dominik Bindl/Getty Images)

米シカゴ警察は2月21日、人気ドラマ「Empire 成功の代償」の俳優ジャシー・スモレットが、ヘイトクライムを自作自演した容疑者であると宣言した。

フォーブスの試算では俳優兼シンガーのスモレットの出演料は、「Empire」の最新シリーズのシーズン5において、1エピソードあたり12万5000ドル(約1400万円)に達していた。ドラマが始動した2015年当時、彼の1エピソードのギャラは4万5000ドルだったと推定される。これは、無名の役者が同規模のドラマに起用された際の、平均的な出演料だ。

関係筋によると、視聴率が上昇するにつれて彼のギャラもあがったという。比較のために数字をあげると、米国で最も稼ぐとされる「ビッグバン☆セオリー ギークなボクらの恋愛法則」のキャストらは、1話あたり90万ドル(約1億円)の収入を得ている。

スモレットの出演料は「Empire」に出演中の大物俳優に比べると、約半分程度の水準だ。タラジ・P・ヘンソンや、テレンス・ハワードらはスモレットの約2倍の報酬を得ているが、彼らはこのドラマが始まった時点で既に有名俳優だった。

つまり、スモレットの収入はさほど低いものではなかった。スモレットは「Empire」でレコード会社CEOの息子役を演じ、累計で700万ドル(約7億8000万円)近い出演料を得ていたのだ。

シカゴ警察によると、黒人でゲイであることを公言していたスモレットは、3500ドルをナイジェリア人兄弟に支払い、暴行事件を自作自演したという。警察はスモレットが支払いに用いた小切手のコピーや、通話記録を証拠として入手しているという。

スモレットは1月29日深夜に、シカゴの自宅前でマスクを被った2人組に襲撃され、警察に通報した。警察は当初、スモレットが「人種差別的な偏見に基づく犯罪に巻き込まれた可能性がある」と発表していた。

「スモレットはこの事件をでっち上げることにより、Empireの出演料を釣り上げようとしていた」とシカゴ警察のEdward Wodnickiは述べた。

スモレットは虚偽通報の疑いで検察に訴追されたが、事件は事実であり、自分の行動に誤りはないと主張している。彼は3月14日に法廷に現れるものとみられている。

「Empire」の製作チームは、その後、スモレットをドラマのキャストから降板させるとアナウンスした。ドラマを放送する20世紀フォックスは当初、彼の降板説を否定したが、現在は社内調査を進めると述べている。

「Empire」の視聴率は直近で下降傾向にあったが、スキャンダルの影響で高まる気配を見せている。

「ドラマに関心を失っていた人たちが、再びこのドラマを観たいと思うようになった」とMIDiAリサーチのアナリストはフォーブスの取材に述べた。

ただし、スモレットの前途は多難だ。仮に有罪判決を受けた場合、彼は1年から3年間を刑務所で過ごすことになる。

編集=上田裕資

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