ビジネス

2019.03.15

「女性たちよ、失敗を恐れるな」 VC業界に女性を増やす処方箋

左からHyunjoo Je(韓国・イエロードッグCEO)、Soo Boo Koh(シンガポール・iGlobe Partners創業者)、村上由美子(OECD東京センター所長)


韓国では投資ファンドのジェネラル・パートナー(GP)の女性は3人しかいません。VC投資で女性が創業したベンチャーが受け取るのは約6%で、VC市場の中で女性起業家と行われている案件は8〜9%と言われています。女性は特にチャンスやお金を得るのが難しい状況です。個人起業家なのに女性起業家の代表のように見なされ、プレッシャーも大きい。女性起業家は、失敗をする贅沢が許されません。非常に厳しいプレッシャーにさらされています。もっと平等な環境で女性がお金を得て、ジェンダーバイアスを受けずに仕事ができるようにしなければなりません。

イエロードッグを始めたのは、2013年の3月でした。今までのところ15社に投資をして、そのうち女性の会社は5社です。意図的にやったわけではありませんが、割合で見ると一般的な会社よりも高いです。チャンスを女性に与えるのはすごく重要です。特に、1回失敗しても2回目のチャンスを与えることが重要です。

VC業界で女性を増やすために必要なのは?
Hyunjoo Je
韓国のVC、イエロードッグCEOのHyunjoo Je。マッキンゼー・アンド・カンパニー、カーライルPE 、クレディ・スイスなどを経て現職

村上由美子:特に日本で役に立つのは、ロールモデルを目にすることだと思います。VC業界にはロールモデルがほとんどいません。女性起業家が男性よりも劣っているわけではない、女性が十分な力を持っていないわけではない、ということを理解してもらうことが大切です。事実をきちんと取り上げて、話していくことが必要です。統計を出すことも重要です。投資利益率で見ても、女性のスタートアップの数字はいいということがアメリカでは統計ででています。その統計をアジアでは集計しづらいのですが。

事実を話していけば、投資の世界に蔓延している誤解も解けると思います。女性に対する投資が増えれば、投資家も増えるはずです。投資家の方にも、スタートアップにも女性を増やさないといけない。「リターンは男性と同等だ」「チャンスを与えて、支援すればもっと増える」と、声をあげて言うことです。

Soo Boo Koh :VCならお金をあげて、「私はボードに入りますよ」と言えばいいでしょう。女性はソフトスキルに優れる人が多く、育児を通じて未来をつくっている。VCの仕事はとても女性に向いていると思います。また、VCでは起業家のためのメンタリングも重要です。これも女性にできる役割は大きい。
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構成=成相通子

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