アジアの数少ない女性VCパートナーとして知られる、韓国VCのイエロードッグCEO、Hyunjoo Je氏とシンガポールのVC、iGlobe Partnersの創業者で経営パートナーのSoo Boo Koh氏が先月来日し、経済協力開発機構(OECD)東京センター所長の村上由美子氏らとパネルディスカッションをした。
なぜ、VC業界に女性が少ないことが問題なのか。そして、いかにして女性を増やすのか。3人が語った言葉は、未来のセルフメイドウーマンを増やすためのヒントが詰まっていた。その一部を紹介したい。
パネルディスカッションは、企業の女性取締役による世界最大のネットワーク組織「Women Corporate Directors(WCD)」が2月に東京で開催したイベント「ASIA PACIFIC INSTITUE」の一部。イベントでは、100人弱の女性取締役らが集まり、次世代のビジネスモデルや取締役の役割などについて話し合った。
Women Corporate Directors(WCD)
なぜVCに女性が少ないこと=問題なのか?
Hyunjoo Je:韓国のイエロードッグというVCをやっております。VCの役割は、「将来的に誰が勝者になって生き残るのか、そして業界はどう変わっていくのか」を見極めながら、未来のために資本を配分することです。未来を動かす一つの指標になるのがVCの資本の動きです。だから、VCの役割はとても重要ですが、やはり男性が主流の世界です。イノベーションや資本へのアクセスという点で、男性が主導権を握っています。
村上由美子:ここにいるSoo Boo Koh氏は、シンガポールで唯一のVCの創業パートナーの女性、Hyunjoo Je氏も韓国の数名のうちの一人です。ちなみに、日本はどうかと統計を探して見ましたが、見つかりませんでした。ほとんど女性がいなかったからです。いずれにせよ、VCというのはほとんど男性が中心です。
投資をする、発明をする、ということがほとんど男性によって牛耳られている、ということは、女性たちが縛られているということです。可能性があるのに、十分に発揮できない。男性と女性で見方が違いますよね。男性に見えないことが女性に見えることがあるし、女性に見えないことが男性に見えることがある。間違いなくVCの役割は重要ですが、もっと可能性があるはずなのに、女性がいないために見過ごされているかもしれない、ということです。
最近、ニューヨークタイムズ紙に日本のワーキングマザーの記事が出ていました。日本では男性がほとんど家事に参加せず、働く母親の負担がとても大きいという内容です。日本人の私たちにとっては驚くような内容ではなかったのですが、多くの日本以外の人にとって、驚くべき内容でした。世界的に女性の負担が大きい傾向はありますが、日本はもっと極端です。家事における男女のバランスが全く取れていません。
対策として、女性ばかりに目が行きがちですが、女性だけの問題ではなくて、男性に働きかけないといけません。男女両方に変化が必要です。子育てをする親は男女です。日本では父親も実は12カ月の育休が取れますが、取得する人はほとんどおらず、女性しかとらない。それが問題だと思います。