古代マヤ文明の遺跡で見つかった「雨乞いの儀式」の痕跡

チチェン・イッツァ(Photo by Donald Miralle/Getty Images for Lumix)

マヤ文明の古代遺跡チチェン・イッツァ(Chichén Itzá)の地下にあるバラムク洞窟で、1000年前から手つかずになっていたと見られる、儀式用の部屋が見つかった。

マヤ文明の神話では、洞窟や洞穴は「シバルバ(恐怖の場所)」への入り口とされている。洞窟や洞穴はこの地域における、貴重な水源でもあった。ユカタン半島北部は、冬場は乾燥しているが、夏場に降る豪雨によって石灰岩の岩盤が侵食され、カルストの洞窟ができることが多い。

バラムク洞窟は、1966年に考古学者のビクトル・セゴビア・ピントによって発見されたが、その後は入り口が封鎖されていた。その50年後になって、地下水を調査するための「Great Maya Aquifer Project」の研究チームが洞窟の内部を探索した。

今回発見された部屋からは、155以上の遺物も見つかっている。雨の神「トラロック」の祭礼品や聖なるジャガー「バラムク」の像、日常的に使われていた道具なども見つかった。祭礼品や像の様式から、これらの遺物は7世紀から10世紀のものとみられている。

マヤ文明の滅亡を招いた主な原因としては、西暦800~1000年にユカタン半島で続いた干ばつがあげられている。今回の発見はこの説に沿うものかもしれない。西暦700~1000年頃、チチェン・イッツァの人々は儀式用の部屋で、雨の神に遺物をささげていたと推定できる。人々は雨を降らせようと必死で祈ったが、彼らの願いは叶わなかったのかもしれない。

編集=上田裕資

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