「栄養と健康、ウェルネスに関する他社にはない戦略」を掲げるネスレのウルフ・マーク・シュナイダー最高経営責任者(CEO)によれば、同社は化粧品のネスレ・スキン・ヘルスやハムなどが中心のヘルタの他、いくつかのブランドについて「戦略的見直し」を行う方針だ。こうした見直しは、「有意義な革新」の一環だという。
ネスレは食品・飲料業界において、従来とは異なる方法でさまざまな取り組みを行い、影響を及ぼそうとしている企業の1社だと考えられる。また、そうした行動の必要性に気づいているのは、同社だけではない。
コカ・コーラは主力商品のダイエットコークに「ブルーベリーアサイー」や「ストロベリーグアバ」をはじめとする新たなフレーバーを加えている。さらに、大麻から抽出される精神活性作用のない成分、CBD(カンナビジオール)を使用した飲料の発売も検討。昨年は英国を拠点とするコーヒーチェーン、コスタ・コーヒーを51億ドル(約5670億円)で買収した。
大手が苦手とする「変化」
米国人は、1日当たり4億杯のコーヒーを消費するとされている。年間にすれば、1460億杯を飲んでいることになる。また、ビジネス・インサイダーによれば、コーヒーの市場規模は1000億ドルを超える。
食品・飲料業界の象徴的なブランドはいずれも、コーヒーでもその他のカテゴリーの商品でも、革新が重要であることを理解している。だが、世界有数のブランドでも、一部は苦戦を強いられている。
市場へのアプローチの方法について、自社ならではのやり方にこだわる企業は多い。従業員たちもその企業のシステムの中に組み込まれており、彼らがシステムから抜け出し、新しいことに挑戦するのは難しいことだ。革新的であろうとしたり、方向を変えようとしたりするのには大変な苦労がいる。
そのことを示す例として挙げられるのが、圧力にさらされている米キャンベル・スープだ。CEOが辞任し、アクティビスト(モノ言う株主)たちは主力商品の一部の売却を求めている。