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ネスレ日本の高岡浩三社長(撮影=岡田晃奈)

イノベーションは、人々が意識すらしていない「諦めている問題」に気づくことから始まる。こう説くのは、ネスレ日本の高岡浩三社長だ。だが、どうすれば「諦めている問題」に気づくことができるのだろう? 高岡が自身のノウハウを伝授する連載第3回では、「TIS(高岡イノベーションスクール)」でのディスカッションからエッセンスをお届けする。

現場のアイディアを育てる仕組み

高岡の「諦めている問題に気づく力」を養ったのは、ネスレというグローバル企業の環境だ。30歳の時に最年少で部長職に就任した高岡は、スイス本社をはじめとする外国人幹部たちから日本特有の現象について質問攻めにあう毎日を過ごしてきた。

日本社会に慣れきっていたら、疑問を持つこともなくやり過ごしているようなことの理由を考える日々。こうした中で「多様な視点で物事を見る力を鍛えた」と高岡は話す。

では、企業としての多様性はどのように維持すればいいのか?

受講生から手が挙がる。

「日本企業では、放って置くと組織が“純化”してしまう課題があるのではないか」

曰く、意識して多様性を維持する努力をしないと、組織の“純度”が上がってしまう。そうして「多様な視点」が奪われていくのではないかという指摘だ。

同質化しがちな日本の組織風土は「日本企業が長いこと直面してきた問題」だと高岡も認める。そうした課題を解消するため、ネスレ日本でも高岡の社長就任時からチャレンジを続けてきた。それが、イノベーション・アワードだ。

ネスレ日本が取り組む「イノベーション・アワード」は、正社員だけでなく、派遣社員や契約社員まで含めて全員が参加する年に1度のトレーニングだ。営業も、物流担当も、バックオフィスの担当者も、「自分にとっての顧客」の問題を読み取って解決策を提案するというもの。選ばれた提案には100万円の予算がつく。

当初は全社で69件しか出てこなかった提案が、現在は4800件まで急増。人事考課にも組み込まれている。

文=大木戸歩

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