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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

ネスレ日本の高岡浩三社長(撮影=岡田晃奈)

「高岡さん、ゴルフに行きませんか?」

ネスレ日本社長の高岡浩三に、かねて親交のある伊藤忠商事会長の岡藤正広から連絡が入った。岡藤は、こう豪語した。

「スコアで80台を出したんです」

聞けば、ライザップゴルフに通って練習に励んだと言う。ライザップゴルフのレッスン料は最低でも3カ月38万8000円と高額。ただ、レッスンプロによるマンツーマン指導や、高性能のゴルフシミュレーターを使った実戦に近いトレーニングに加えて、オンラインを介して家での自習までサポートする。そして「スコア100を切ること」という結果にコミットするのが特徴だ。

自身がゴルフの上級者である高岡は、「従来型のゴルフスクールよりも、結果を出しやすいでしょうね」と評価する。

ただ、高岡が何よりも注目したのは、そのビジネスモデルのユニークさだ。「新しい技術によって、顧客の問題を解決している」という。では、ここで高岡のいう「新しい技術」とは、そして解決された「問題」とは何なのか。

何が解決の糸口になるかはわからない

11月27日、高岡は自身が立ち上げた「高岡イノベーションスクール(TIS)」の講義に立っていた。この日のテーマは「新しい現実を見て、問題を解決する手法」。ネスレ日本で高岡が積み上げてきた成功事例に共通する、根本的な考え方について説いていた。

高岡が強調するのは、「問いを立てる力」の大切さだ。

「ビジネススクールでも『問題解決』が持てはやされがちですが、問題解決能力だけではイノベーションは起こせない。重要なのは問題発見能力なんです」

顧客が気づいているけれども諦めている問題、不便なのが当たり前で意識されなくなった問題は、盲点になりがちだ。だが、そうした問題と「新しい現実」が結びついたときに、解決の糸口は見えてくる。そしてその問題が解決されるとき、イノベーションは起きるのだ。

少子高齢化による市場の縮小、労働力不足、インバウンドの影響、ミレニアル世代を中心とする消費意識の変化、ITデバイスの急速な進化……。「新しい現実」のように見えること、日本や世界が直面する問題は、たくさんある上に広範に及ぶ。その中でイノベーションにつながる「新しい現実」を探そうとする時、何をどのように見て、どこから手をつけたらいいのか? そして考えるテーマや範囲をどう絞るべきなのか?

受講者からの問いに、高岡はこう答えた。

「テーマを絞るのではなくて、すべてが対象。何が入口になるのか、最初からわかっているわけではありませんから」

自分が担当する商品に関係のあるテーマに限らず、見聞きしたあらゆることについて「なぜこういうことが起こるのか」と持論を作っていく作業を繰り返す。新聞の見出しも、そうした思考訓練の良い教材だ。そうして考え続けることで、社会の動向と仕事の問題が自然と結びつくようになると高岡は言う。

文=大木戸歩

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