キャリア・教育

2018.12.25 07:00

3日坊主は解決できる ゴルフスクールを変えた「新しい現実」


「やることが漠然と大きく感じるかもしれません。でも、人の頭は非常に短い時間の中で膨大な情報を処理できるもの。5分あったら相当いろいろなことが考えられます」

キットカットの受験生応援キャンペーン、ネスカフェアンバサダーなど、高岡が手がけた大きなキャンペーンのアイデアも、こうした訓練の結果だ。

「大きなアイデアはほとんど寝ている間に夢の中で思いつき、夜中に起きて社員にメールしました」

日頃から考えていたことが結びつき、ある日の夢の中に出てきたと話す高岡。大ヒットにつながるアイディアが浮かぶのは、運ではなく、日頃の鍛錬によるようだ。

ゴルフスクールを変えた「新しい現実」

話をゴルフスクール「ライザップゴルフ」に戻そう。高岡は、ゴルフスクールにとって何が「諦めていた問題」で「新しい現実」だというのか。

「新しい現実──つまりITの進化です。シミュレーターの登場が、ゴルフの練習環境を激変させました」

「ゴルフを始めたい」と思い立った初心者がいたとき、従来ならゴルフ練習場に通うのが普通だった。室内練習場のような狭い場所ではすぐにネットにボールが当たるし、多少広い練習場であっても実際の飛距離や打球のズレはわからない。そもそもネットに向かってボールを打っても上達しているという実感はわかない。さらに練習場でレッスンプロに教えてもらっても、数日経つと忘れて自己流に戻ってしまう。達成感を得られない人は、ゴルフから離れていく。

「ゴルフの練習が三日坊主になってしまう」のは、その人の意思が弱いから。ゴルフ練習場の顧客の定着率が低いのも仕方がない。それが、「諦めていた問題」だった。

だが、シミュレーターがゴルフを変えた。室内練習であっても、自分の打球が何ヤード飛んだのか、打球が左右にどれだけズレたのかがわかるうえ、シミュレーター上で「コースを回る」ことだって可能だ。手軽に実戦練習ができ、結果が見えることで、顧客は手応えを得ることができる。

「結果が見えない」「上達しない」シミュレーターが解決したのは、こうした顧客の問題だけではなかった。顧客の問題を解決することが、同時にレッスンプロの問題解決にも繋がっているのだ。高岡は言う。

「レッスンプロは、継続して通ってくれる生徒がいないと収入になりません。シミュレーターの登場で結果が見えるようになり、『続けよう』という意欲を持てる生徒が増えれば、レッスンプロの収入に繋がります。そもそもライザップは会費自体が高額だから、収入を安定させやすいはず。もちろん、彼らはどうやったら目の前の生徒が100を切れるかと必死で考えていると思いますが」

スポーツジムや習い事が続かない大きな原因の一つは、成長しているという実感が持てずに満足感が得られないこと。従来のゴルフ練習場関係者も、こうした顧客の問題には気づいていなかったわけではないだろう。ただ、ライザップゴルフはこの問題を諦めなかった。ITの進化という「新しい現実」に気づくことで解決しようとしているのだ。

文=大木戸歩

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事