外観はさりげなく、走りはハンパなく 進化したBMW3シリーズ

BMW 3シリーズ

この車種は無視できない。BMWの3シリーズは、クルマ業界の1つの重要なスタンダード、つまり基準であり、柱だ。世界の代表的なクルマといえば、ゴルフ、911、Sクラス、カローラ、ロードスター、そして3シリーズ。音楽業界に例えると、ファーストネームを言わなくてもわかる大御所のマッカートニー、クラプトン、マーキュリーみたいなものだね。

これらレジェンド車種は、何十年も煮込みに煮込んで熟成し、そのカテゴリーのトップに立った。だから、BMWは中型セダンのスタンダードである3シリーズを変に遊んだりしない。進化とスタイリングは、小まめに丁寧に磨いていくしかない。

今回登場する7代目で目立った変化は、僕が試乗した330iが直6ではなく直4のターボだという点だ。しかしその詳細は後ほどにして、まず外観をみるとしよう。

一見するとやはり「さりげない変化」という印象が強い。つまり、旧型と新型を良く見なければ、その差がわからない。特徴はそのままキープコンセプトだけど、細かく見ると横のラインがより強調されて、ドアハンドルを通過しなくなったし、ライトは多少デザインがシャープになった。



でも、外観について最も話題になっているのは大型化だ。ボディの全長は8cm、全幅は4cmほど伸び、5シリーズのサイズに近づいてきてきたので、7代目となる3シリーズはもうコンパクトとは呼べない。やはり、欧米社会では「進化」=「強大化」ってことだね。向こうの人間も身長が少し伸び、横幅も広がっていっているわけだ。

この巨大化のおかげでよりルーミーになった室内を日本人も喜ぶだろうけど、駐車場の寸法を気にするオーナーも出てくるだろう。ただ同車は大きくなったものの、パワートレインやボディにふんだんにアルミを採用して、50kgほど軽量化されている。

僕が日本で乗った最初のモデルは、330iのMスポーツサスペンション仕様。これは、BMWはブランドとしてスポーツ性への回帰をより一層強めていこうという証拠だととれるだろう。
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文=ピーター ライオン

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