中国紙・環球時報は2月末、次のように報じた。
「米国の電気自動車(EV)メーカー、テスラが中国でのモデル3の納車が開始されることを受け、ショールームは試乗を希望する人であふれている」
「中国でiPhone 4が発売された約10年前と同じように、消費者の一部はモデル3に強い関心を示している」
中国でiPhone 4 のオンライン販売が開始され、発売から10時間で完売したのは2010年10月のことだ。モデル3にもそれと同様のことが起きると考えるには、相応の理由がある。
その1つが、どちらの製品にも共通する「クールさ」だ。台頭する中国の中間層にとって、所有することはステータスシンボルになる。
もう1つの理由は、テスラが中国国内でモデル3を生産する計画であることだ。iPhone 4と同じように、モデル3は現地生産することによって、ローカリゼーションや輸入関税その他のコストなどにおいて、幾つかのメリットを得ることができる。
テスラの場合、EVに対する関心が非常に高いという強みもある。EVは、極めて深刻な中国の大気汚染問題への解決策になるとみられている。前出の記事によると、新エネルギー車の販売台数は2018年、前年比83%増加している。
さらに、モデル3の価格も要因として考えられる。中国市場での販売価格は約7万2000ドル(約800万円)となっており、中間層の大半にとっては「手の届くぜいたく品」だ。
鍵となるのは大衆化
価格を低く設定することは、最終的にテスラが中国で臨界点を超えるのに役立つことになるだろう。
マーケティングの専門家エベレット・M・ロジャースは「イノベーター理論」で示した普及曲線で、製品が「クリティカルマス(広く普及するために最低限必要な普及率)」に達するのが臨界点だとしている。
ロジャースは、新製品はいくつかの段階を経て普及していくと主張する。消費者はまずそれを「認識し、関心を持ち、評価し、試し、そして採用する」というのだ。