今回の調査を行なったチームは、加工食品と死亡率のつながりの裏にどのような仕組みが存在し得るかに関して少し考察している。チームいわく、その一つは穀物やジャガイモを高熱調理したときに生成される化合物、アクリルアミドだ。世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関は数年前、あらゆるデータを検討した結果アクリルアミドを「発がん性物質の可能性がある」として強く非難した。
慢性腸炎や発がんのリスク増と関連しているかもしれない二酸化チタンのような添加物も、超加工食品と死亡率増加の関係を一部説明できるかもしれない。
また乳化剤や人工甘味料はそれぞれ腸の細菌バランスを破壊し、炎症やメタボリックシンドローム、最終的には2型糖尿病やがんを引き起こしてしまう可能性もある。最後に著者らは、特にBPA(ビスフェノールA)などの物質を含む缶やプラスチックなど、食品包装材の影響の可能性も示唆している。
一方研究者らは、因果関係がその逆である可能性もあると警告している。既に健康問題を抱えている人が不健康な食事に偏ってしまうケースだ。ただ、健康問題を抱えた人はより健康的な食事を選択することが多いと考えるのが論理的なので、研究者らはこの可能性を概して否定している。
同研究では、世界的なトレンドが自然食品から、素早く準備できて不健康な加工食品へと近年変化していることも指摘されている。著者らは「超加工食品の消費は主に過去数十年の間に増加し、非伝染性の病気を原因とした死亡件数を増加させているかもしれない」と述べた。健康的な自然食品を食べ、脂肪の多い不健康な食事は適度にしか取らないことで知られるフランスでさえ加工食品を食べているようだ。
コストが一つの要因となることが多いため、より多くの人が健康的な食品を購入できるようにする必要があるということが、この分野の研究の成長から示されている。手頃さだけでなく、自然な食品かどうかを基準に食べるものを選ぶことが重要だ。ただ、不健康な食べ物の誘惑に負けたとしても自分を責めてはいけない。2個目のドーナツの誘惑に打ち勝ち、正しい道に戻るだけだ。