私が創業したコンサルティング企業リーダーシップIQ(Leadership IQ)の調査では、採用が失敗した場合の原因は89%の場合、従業員の態度にあることが非常に明確に示された。つまり、新入社員を採用したが失敗した場合、技術的スキルの不足ではなく社員の態度がチームになじまなかったことが原因だったケースは10回中9回に及んだことになる。
改善を進んで受け入れない、同僚から孤立している、意欲に欠ける、その企業文化で成功する性格ではないなどの要素が当てはまれば、たとえどんなに高いスキルを持っていたとしても意味がない。
ここでは、自分の態度に関する認識を高め、自分の姿勢がチームとなじまない場合に調整を行うための2つの簡単なステップを紹介する。
1. 上司に2つの質問をする
企業文化に溶け込む鍵の一つは、どのような人が成功し失敗するかを理解することだ。もちろん、成功するタイプを模倣し、失敗する行動を避けることも必要になる。
こうした情報はどのようにして手に入れるのだろうか? それは至って簡単なことで、尋ねるだけだ。まずは上司と話す場をもうけ、周囲からの期待値をきちんと満たしたいと思っていること、そのために質問があることを丁寧に述べる。聞くべき質問は次の2つだ。
・この会社やチームに合った適切な態度を示す人を思い浮かべて、こうした人が正しい態度を行動で示したときのことを教えてください。
・この企業で働く、あるいは働いたことのある人の中で適切な態度を示さなかった人を思い浮かべて、こうした人が適切ではない態度を行動で示したときのことを個人名を挙げることなく教えてください。
ここで「企業文化について説明してください」のような漠然とした質問を、私が提案していないことが分かるだろう。こうした漠然とした質問には、曖昧でつまらない答えが返ってくる。しかし、現実に基づいた例を上司に求めれば、企業に合う人合わない人に関する鮮明な答えが返ってくる。こうした説明を通して、自分を企業文化によりうまく合致させるため必要な見識が得られる。
また、この質問に対する答えは他者についての説明なので、あなたに対する露骨なフィードバックを上司に求めなくて済む。多くの管理職はこうしたフィードバックすることを苦手とし、嫌っている。この質問を通しあなたは、ともすれば厳しいフィードバックともなりかねないことを上司が安全に、楽に伝えられるようにしているのだ。(ただしあなたの方では、上司の挙げる例を熱心に聞いて自分の務めを果たさなければならない)