ビジネス

2019.02.21

GMOクラウド・電通・DMM.make AKIBA──日本のプレイヤーが見た、それぞれのSlush

左からGMOクラウド Technical Advisor 王 必栄氏:電通 第6ビジネスプロデュース局ビジネスデザイン・プロデューサー 安部 和起氏:DMM.make AKIBA エヴァンジェリスト 岡島 康憲氏

10年目を迎えたSlush 2018には、日本からも多くのプレイヤーが参加した。リサーチ、商談、ネットワーキング、ブース出展……。
彼らは一体、何を持ち帰ったのか。日本から参加した3人に、他のイベントにないSlush独特の魅力と、今回の収穫を聞いた。



新規商材を発掘、「Crazy for Good」体感



王 必栄
GMOクラウド Technical Advisor
 
私たちの部署では日本以外で開発された商材を、日本やアジア地域に向けてローカライズし販売しています。今回は日本、アジア・太平洋地域へのサービス展開に興味がある新たな企業とコミュニケーションを取るため、同僚2人と一緒に初めて参加しました。いくつかの新規商材を発掘でき、今後も継続的な関係を築くことができ、また現地のスタートアップに詳しい方とのコネクションもできたため今後が楽しみです。
 
会場に入った時点から最後まで、主催者と参加者の、狂気と言えるほど熱い気持ち、「Crazy for Good」を感じるイベントでした。

元々、深刻な課題を解決するには大事なことだと認識していますが、Slushでは「CrazyIdea」が大きく支援されていることを体感し、感銘を受けました。
 
インパクトのあるブースも結構ありましたね。スタートアップイベントでありながら、大手企業が多く参加していたことは印象的でした。公共交通機関を深夜まで営業するなど、Slushがヘルシンキ市から全面支援されていることからも、規模の大きさを感じました。

「社会課題の解決」事業創出の共通項を実感



安部 和起
電通 第6ビジネスプロデュース局
ビジネスデザイン・プロデューサー
 
今回電通として10人で参加しました。ビジネス・ディベロップメント部門、事業投資部門、ストラテジー部門などのメンバーが情報収集やネットワーキングをしました。日本とフィンランドの政府間経済協定もあり、欧州と日本のハブとしてのフィンランドも魅力的で、欧州のスタートアップエコシステムがSlushを中心に構築されていると感じました。
 
満足度は100点。投資家やスタートアップとの距離感やサイドイベントの充実具合など、非常にバランスの取れたイベントでした。英、仏、独からも多くの投資家、スタートアップ、事業会社が来ていて、興味深いスタートアップとの出会いもあり、今後のビジネスの可能性を具体的に探っています。


 
Slushがスケールした理由として感じたのは、「社会課題の解決」の理想が共通項として存在している点です。よりよい社会のために新たなビジネスが創出されています。大企業側も社会課題をアジェンダ化し、「メガトレンド」として提示することで、スタートアップと取り組む意義、ゴールをわかりやすく見せている点は非常に印象的でした。

北欧のスタートアップ環境、原動力は「危機感」



岡島 康憲
DMM.make AKIBA エヴァンジェリスト
 
DMM.make AKIBAはスタートアップ企業などのハードウェア開発をサポートする総合型モノづくり施設です。サポートする我々自身が新たな知見を得るため、初めて2人で参加しました。私は主に技術面での情報収集、もう1人は継続的なビジネス構築や情報交換が可能な企業、行政、大学などとの関係づくりをミッションとしました。両面で大きな収穫がありました。官民学の連携事例を知り、会場内外で出会ったビジネスパーソンと次のアクションが設定できました。


 
北欧のスタートアップを取り巻く環境は「危機感」が原動力だと感じます。世界規模のテクノロジースタートアップの多くは北米で生まれ、近年は中国も存在感を増しています。少子高齢化が進み、国力維持の観点で新たな産業を生み出すため、北欧では官民学でスタートアップ支援の施策にフォーカスしています。Slushはそれらの施策で生まれたスタートアップとエコシステムを世界に紹介する場として非常に魅力的な場で、北欧同様の課題を持つ日本のプレイヤーにとって触れるべきイベントであると考えます。

文=井土亜梨沙、林 亜季 SLUSH IMAGES FROM: ESA-PEKKA MATTILA :JUSSI HELLSTEN

この記事は 「Forbes JAPAN プリンシプル・カンパニー」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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