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2019.02.22

相次ぐブランドの黒人差別、プラダは社内に「対策委員会」設置

Papin Lab / Shutterstock.com

イタリアのファッションブランド「プラダ」は昨年12月に発売した新キャラクターが、黒人差別にあたるとして強い非難を浴びた。プラダは先日、社内で多様性向上のためのダイバーシティ委員会を立ち上げ、映画監督のエイヴァ・デュヴァーネイと、アーティストのスィースター・ゲイツらを共同会長に任命した。

2名は今後、プラダ社内でダイバーシティ向上のための助言を行っていく。同社はさらに、ファッション業界における包括性のギャップを狭める試みを進め、人種の多様性を念頭に置いたインターンシッププログラムなども始動させるという。

黒人ビジネスリーダー向けメディアCultureBanxは、プラダがここ数年、ファッション業界の競争の高まりの中で、競合のLVMHやケリング傘下のブランドに敗退していると報じていた。

プラダの売上は2014年から下落が続き、昨年になってようやく上昇に転じていた。昨年の上半期の売上は前年同期比で9.4%の上昇で、純利益は1億2340万ドル(約137億円)に達していた。同社は外部のEコマース企業とも連携を深め、2020年までに売上の15%をオンライン経由にしたいとの意向も示していた。

しかし、ファッション業界での人種差別に関わる問題は根が深い。業界のトップの大半を白人が占めており、黒人コミュニティとの間には距離がある。

先日はグッチが、ECサイトで販売していたニット製品「バラクラバジャンパー」が黒人差別的であるとの非難を浴び、販売を中止した。同社の親会社ケリング会長のフランソワ・アンリ・ピノーは「ダイバーシティは、我が社の今後の発展において、非常に重要な位置を占める」と述べた。

グッチは近年、ヒップホップカルチャーに接近する動きを見せており、昨年はニューヨーク・ハーレムの伝説的テーラー、ダッパー・ダン(Dapper Dan)にオマージュを捧げた限定コレクションを各国の主要店舗で発売していた。

2月12日のケリングの2018年の決算発表によると、グッチの売上は約90億ドルに達し、売上の62%をミレニアル世代が占めていた。

ヒップホップはミレニアル世代にアピールする上で非常に重要なツールとなる。ベイン・アンド・カンパニーは2025年までに、Y世代やZ世代と呼ばれる年齢グループが、世界のラグジュアリー消費の45%を担うと予測している。

編集=上田裕資

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