クルマのデザインの良し悪しは、存在感に現れると思う。じっくり見てカッコいいとか細部に凝らした意匠の良さも確かにあるが、バックミラー越しにチラッと見た時や追従して走っている時、そして街角を歩いている時。ふと、何気なく目を向けてしまうような存在感に、なによりも圧倒される。
ボディ横のキャラクターラインを廃した新型「Mazda3」は、マツダデザインの大きな転換点となる。2019年に控えたMazda3の発売を持って、2012年の「CX-5」以降の全車種に導入してきた「魂動デザイン」が、次なるフェーズに突入したことを意味するのだ。
キャラクターラインに取って代わり、魂動デザインのセカンドステージで躍動感をもたらすのが、ボディの豊かな面表現。映し取った光や街並みといった周囲の風景の移ろいに、愛車というかけがえのない存在が備える生命感を重ね合わせようとしている。
魂動デザインは、クルマの形状などのルールではなく、見る人の魂を動かすもの。クルマにおける真の美しさとは何かと絶えず問い続ける姿勢だ。その先に見出した車種ごとの最適解とも言える美しさを、マツダ車が持つ存在感として統合するデザイン哲学なのだ。
2019年、新しいMazda3を路上で見た時、心はどう動くだろうか。いつどこでその存在感を感じ、瞬間的に立ち上がる感情はどのようなものか。今から楽しみでならない。
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#8|「魂動デザイン」の新境地、真の美しさを問う──Mazda3
#9|ポルシェ一族の先進性を象徴。次世代の電動スポーツカー
#10|コンセプトカーであり象徴 ボディが衝撃を受けても元の形に戻る新技術とは──DS X E-TENCE