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「2020-2021 日本カー・オブ・ザ・イヤー」受賞のスバル・レヴォーグ

2020年は新発表のクルマの「アタリ年」だったと、ジャーナリストの小川フミオは語る。 環境対応と技術の進歩が進むなか、クルマが未来への方向性を描き出す。


日本政府が2030年半ばまでに「脱ガソリン車」を宣言。追いかけるように、東京都は2020年12月に、ガソリンエンジン(のみ)の乗用車の販売を2030年までにゼロにすることをめざすと発表した。

ではディーゼルはどうなるのだろう。また、ピュアEVでも、環境が論点となった場合、製造工程や電気を作るエネルギーの種類は……といった具合に、考えなくてはいけないことがいろいろある。いまはまだ、クルマ乗りとしては、環境問題を意識することは大事と悟りつつ、クルマを楽しませてもらっていい時期かもしれない。

なにしろ、2020年は、日本と輸入車ともに、大きな“アタリ年”だった。200万円少々のトヨタ・ヤリス、ホンダ・フィット、日産の新型ノートなどから、3500万円超えのロールスロイスの新型ゴーストまで、楽しめるクルマがめじろ押しなのだ。

ヤリスやフィットのハイブリッドモデルは、リッターあたりの走行距離が35キロ超えという驚異的な低燃費。新型ノートはモーターのファインチューニングを徹底的に行ってとてもスムーズな挙動を実現した。200万円の前半でこの出来、というのは、本当にたいしたものだ。

おもしろいのは、運転を楽しむクルマの概念が変わってきたことである。フェラーリがつくるピュアスポーツもいいし、一方、アウディe-tronスポーツバックや、ポルシェ・タイカンといったバッテリー駆動のEVが、実は走りもかなり楽しいという、従来になかった体験をさせてくれたのも、うれしい。

トヨタも負けていない。水素で走るMIRAIを20年12月にフルモデルチェンジ。後輪駆動化された新型のプロトタイプに試乗したところ、パワフルな動力性能としっかりした足まわりで、燃料電池車の新しいポテンシャルを見せてくれたのだった。

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ミニマルな洗練を志向した ロールスロイスの「ゴースト」は9月にオンラインで発表。

デジタル技術の進化も着々と進んでいる。量産車に話をかぎっても、スバルの新型レヴォーグのアイサイトはより機能が向上して安全性が高まるとともに、ドライバー支援機能も強化された。メルセデス・ベンツでは、マイナーチェンジしたEクラスにAR(アーギュメンテッドリアリティ)を採り入れたナビゲーションシステムを採用。実画像と虚像を合体させる技術により、複雑なかたちの交差点などでも画面の矢印が進むべき方向を教えてくれる利便性の高さに感心させられた。

私たちもどこへ行くべきか。矢印はないけれど、クルマ選びを通して、未来へと進んでいくことが楽しみになる。それが2020年の収穫だ。

小川フミオ◎1959年生まれ。慶應義塾大学文学部英米文学科卒業。自動車とカルチャーを融合させた「NAVI」の編集に携わり1999年から編集長を務める。02年より自動車誌「モーターマガジン」の編集長。同年秋より「Food and Style」を謳うグルメ誌「アリガット」の編集長。2004年よりフリーランス。

text by Fumio Ogawa

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