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2019.02.20 08:30

米MLB球場「トロピカーナ・フィールド」が完全キャッシュレス化へ

タンパベイ・レイズの本拠地トロピカーナ・フィールド(Getty Images)

タンパベイ・レイズの本拠地トロピカーナ・フィールド(Getty Images)

野球メジャーリーグ(MLB)のタンパベイ・レイズの本拠地である「トロピカーナ・フィールド」では、現金はもはや最強ではない。同球場は、すべての支払いがキャッシュレス化される初の北米主要スタジアムになる。

フロリダ州セントピーターズバーグにあるトロピカーナ・フィールドは、レストランや売店を運営する企業「Levy Restaurants」と、その子会社でシカゴに拠点を置くアナリティクス専門企業E15と提携し、スタジアムを完全にキャッシュレス化するための移行をした。

とはいえ、そこに至るまでの過程は、スイッチをポンと切り替えるような簡単なものではなかった。

レジ待ち時間が5分短縮

E15のジャイム・フォークナー最高経営責任者(CEO)は、「完全なキャッシュレス化に踏み切るには、広範におよぶテストと試験プログラムを実施し、来場者の反応を見きわめたり、サービス迅速化のメリットを測定したりするなど、計画的で配慮の行き届いた方法をとらなくてはならない。それは、タンパベイ・レイズ、リービー、E15の全てが理解していた」と話す。

「事前に実施したほかの試験導入プログラムを踏まえて、キャッシュレスを導入すれば、サービスの迅速化とファン満足度の観点でメリットがもたらされると楽観視はしていたが、来場者の反応はその予想を上回り、これ以上望めないほどのものだった」

フォークナーは、2018年にキャッシュレス決済の試験プログラムを実施した際に、好意的な反応を寄せた来場者が90%を超えたことで、トロピカーナ・フィールドで自分たちが理想的なスタート地点に立っていることを悟ったと述べる。

2019年シーズンには、球場の売店、グッズ販売店、チケット売り場、駐車場をはじめとするすべての場所での売買が完全にキャッシュレス化される。試験プログラムの結果、キャッシュレス化によって、取引にかかる時間は、現金での決済に比べて平均で半分以下になることがわかっている。たとえば、スタジアムで最も来店者数が多い売店では、平均7分だった待ち時間が2分に短縮されたという。

トロピカーナ・フィールドでは現金に代えて、主要クレジットカード、球団が発行する「レイズ(Rays)」ギフトカード、アップルペイやサムスンペイなどの近距離無線通信技術(NFC)によるモバイル決済のほか、シーズンシート保有者向けレイズカードが使われるようになる。電子決済手段を持たないファンは、売店やスタッフから、10ドル単位のギフトカードを購入することが可能だ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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